なんと4週間のロングランである。12月1日からクリスマスイヴの24日まで上演が続く。大阪の小劇場では、ほとんどあり得ないことだろう。しかも、タイトルにあるように3人芝居だ。だけど、3人がそれぞれ9役を演じる。同時進行で9組の男女が、クライマックスであるイヴの夜に向かって突き進んでいく。とてもよく出来た作為的な台本である。複雑に絡み合った異質なものも多々ある様々なドラマが、同じ3人によって演じられ、それが同時進行し、感動のラストに向けて突入していく。すべてのエピソードがピタリと一つに収まるか、といわれると、少し収まりどころが危うい。でも、そんなところもいい。ぴたっと嵌まるのではなく、ちょっとギクシャクするくらいがいい。わかりやすい帰着点へとカウントダウンしていく100分間の大冒険。
しかも、これをなんと9組のチームが4ステージずつ演じていくのだ。僕が見たのは、トップバッターのチームパープル。mayの金哲義がセンターに立つグループだ。1本を見るなら金さんがいい、と思い、これを選んだ。彼はいつものmayでの芝居とは違って、軽やかな演技を披露しようとしてくれるのだが、なんだかぎこちない。3人が9役を演じるなんていく難易度の高さ、しかも、芝居はアップテンポで、流れるように演じ分けねばならない。3人のアンサンブルが重要だ。小柄な栗田ゆうきと、ぼんやりした中路輝との連携は、少し、微妙。だけど、そこが微笑ましくて悪くはない。気持ちよくラストまで持って行く。
9種類の芝居が見られるはずだ。さらには、3人✕9組のオールスターキャストでのヴァージョンもある。なんとも挑発的で冒険心溢れる企画。