この本を手にしたのは、筆者の「趣味と仕事は等価であるべきだ」という考え方に共鳴したからだ。その理由をどう説明するのかにも興味がある。
さらには彼が僕より10歳年上で、そんな人生の先輩(団塊世代だ)に「これからの生き方を享受していただきたい」なんて、ね。まぁ少し読んでつまらなかったら途中まででやめたらいいくらいの気分で読み始めた。
上から目線でも、下手に出て読者におもねることもなく、自説を淡々と繰り出すのが気持ちいい。啓蒙本ではない。自分の思うことを押し付けがましくなく、伝える。だけど頑なに信念を持って自説を展開する。
「道」ではなく、「楽」を極めることを大切にすべきだと言う。芸術は鑑賞型ではなく実践型を推奨する。まず自分ですることから始めてみる。信頼できる先人を真似て自分らしさを目指せ、と。趣味を極めること。能楽、絵画から写真とさまざまなジャンルに挑んで趣味を越え仕事に至る。研究を極めるなら古典から始めてみるべきと言う。
いろいろ意味で刺激になった。僕は今、古典ではなく常に新しいものを求めるし、実践より鑑賞を極めるタイプだけど、この人の姿勢には共感できる。まず「楽しめ」という。そこから始まる。