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映画・演劇のレビュー

『破・地獄』

2024-12-31 22:38:00 | 映画
東京国際映画祭で先行上映されたこの作品が今台湾でロードショー公開中だった。今回の旅行では既に名画座で2本映画を見たが、これが3本目。『おくりびと』の香港版。監督は陳茂賢(アンセルム・チャン)。とても丁寧な作りをしているから好感が持てる。

コロナ禍から失職してウエディングプランナーから葬儀屋に転職した男(ダヨ・ウォン)と、彼に葬儀を教える老師(懐かしのマイケル・ホイ)。このふたりを中心にして、父親を尊敬し、彼の仕事を引き継ぎたいと願うが叶わない(女は穢れているから破地獄の儀式は出来ない)老師の娘、さらには、そんな妹に嫉妬する兄や、妊娠した男の妻の姿が描かれていく。

当然日本語字幕はないから台詞の意味がわからない。だから必然的に細かい内容はわからない。(英語と中国語字幕は入るが)昨日の『愛情城事』は台詞も少なくわかりやすい映画だったけどこちらは言葉がわからないと内容を把握しにくい。

父と子の確執。夫婦の想い。葬儀だけでなく死体の処理までさまざまなことが描かれていく。メインであるお話の背後でラストの破地獄の儀式までが描かれる。このクライマックスが凄い。

これは「人が死ぬこと、生きている者は死者に対して何ができるか」ということを描いたヒューマンドラマだ。こんなタイトルだけどホラーではない。

今年最後の映画としてふさわしい渾身の力作である。たぶん日本でも来年公開されることだろう。必見の一作だ。


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