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映画・演劇のレビュー

伊坂幸太郎『チルドレン』

2011-04-04 21:34:14 | その他
 先日、彼の初エッセイ集を読んでいて、その中に、この『チルドレン』のことに触れてある部分があった。家裁調査官の友だちがいて、彼の話を聞いたことで、家裁調査官に興味を持ち、彼らを主人公にしたドラマを書いてみようと思ったらしい。そう言えば僕はこの作品をまだ読んでないなぁ、と気付く。そんな時、偶然図書館に行くと、この小説の文庫が新入荷していて、目に付くところに置いてあったので、これは僕に読め、という啓示だな、と思い、借りてきた。(それにしても、僕は、なんでこんなつまらないことをぐだぐだ書いているのだろうか)

 最初はさすがに初期の作品だけあって、へたくそな小説だな、と思ったけど、我慢して読んでいくと、だんだんおもしろくなってきた。1つ目の『バンク』は小手先で書いた小説で、ダメ。2つ目のタイトルロール『チルドレン』からおもしろくなる。陣内というバカなキャラクターが生きてくるからだ。

 彼が前面に出過ぎてもダメで、後景に沈みすぎても(『レトリバー』ね)ダメ。結果をいうと、微妙なバランスで話の核に据えられる『チルドレン』と『チルドレンⅡ』がおもしろいということになる。陣内のいいかげんさ、適当さ。でも、時として的を射る言動がとてもいい。僕は認めないけど、なんとなく僕の普段のやり方とよく似ている気がして、なんだか読みながら恥ずかしかった。誰にも何も言われてないのに、彼を見ていると、自分の行為を見るようで、恥ずかしいから、かなり照れる。


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