
タイトルロールの作品は同棲して半年、もう一編の『自然に、とてもスムーズに』は、3年目の同じカップルの日常を描く連作。彼らの日常がさりげないふたりの会話から立ちあがってくる。最初はあんなに幸せだったはずなのに、今ではとても息苦しい毎日だ。それを乗り越えるために、女は結婚に踏み切りたいが、男にはそんな気はないし、それには反対にちょっと不安。きっと結婚によって、何かが変わるわけではない。(経験上僕たちにはよくわかるのだが)でも、変わることを期待する女と変わることを恐れる男がここにはいる。
別に2人の関係が冷え切ってしまったわけではない。だが、マンネリ化していることも事実だ。3年という歳月の重みが後から少しずつ沁みてくる。なんか、読んでいて心が暗くなる小説だ。でも、今、こういうのを綿谷りさは書きたかったのだろうから、彼女の本音をしっかりと受け止めよう。劇的なものは一切ない。そこがちょっと作為的に思えるくらいだが、できるなら、もう少し何かが欲しい。ねらいばかり、クリアに見えるのに、それ以上の何かがないから、読み終えた後には何も残らないのだ。
主人公であるこの2人はこの小説を通して、この中で、ほとんど成長していない。たとえそれが作者の意図したものであろうとも、それではつまらないよ、と僕は思う。
別に2人の関係が冷え切ってしまったわけではない。だが、マンネリ化していることも事実だ。3年という歳月の重みが後から少しずつ沁みてくる。なんか、読んでいて心が暗くなる小説だ。でも、今、こういうのを綿谷りさは書きたかったのだろうから、彼女の本音をしっかりと受け止めよう。劇的なものは一切ない。そこがちょっと作為的に思えるくらいだが、できるなら、もう少し何かが欲しい。ねらいばかり、クリアに見えるのに、それ以上の何かがないから、読み終えた後には何も残らないのだ。
主人公であるこの2人はこの小説を通して、この中で、ほとんど成長していない。たとえそれが作者の意図したものであろうとも、それではつまらないよ、と僕は思う。