習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『もう少しだけ近くに』

2013-04-13 00:15:50 | 映画
 5つの短編による連作長編。一部微妙にリンクしている。オムニバスだが、トータルなイメージを提示したいようだ。それがこのタイトルだろう。(原題もこのままではないか)登場人物は、どのエピソードも2人のみ。基本的に男女2人が(男同士のカップルの話がひとつあるが)向き合う20分ほどの時間がリアルタイムで描かれていく。なんと宣伝によるとこの映画の監督は韓国の岩井俊二と評判らしい。

 カメラは、彼らから目を離さない。ずっと2人の顔と姿を凝視したままなので、少し息苦しい。横から撮影してそのままカメラは動かないエピソードもある。第5話は外に出て、歩きながらの会話なので(そのため、他の人たちや風景も写りこむ)少しほっとするし、ラストではライブのシーンもある。(彼らはミュージシャンなので)

 でも、それ以外のエピソードは、みんな室内劇。(車の中含む)描かれることはあまりに個人的で、他人にしてみればどうでもいいことばかりだ。登場する2人の関係は基本的にはカップルなのだが、それぞれの置かれている状況は全く違う。(まぁ、当たり前かぁ)

 こんなにも近くにいるのに、わかりあえないもどかしさが描かれる。企画としてはとてもおもしろいと思うのだが、映画としては物足りない。というよりも、つまらない。それはあまりに2人に寄りすぎたからではないか。(オープニングの短編は他の話より、短いし、電話での2人の会話なので、これも少し、外の風景が写りこむ)

 アイデアがかりが先行して中身が伴っていないからだ。どうでもいいようなプライベートな会話から彼らの置かれた微妙な現状が立ち上がっていくべきなのだが、まるで感情移入できない。残念ながらとてもつまらない。107分が苦痛だった。



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