12月中旬過ぎの暖かな日に
自然農実践家指導者 川口由一さんの
田畑をお訪ねいたしました。
田んぼではお米の脱穀を数日前にすまされ、
稲わらを畝一面にふりまいておられました。
耕さず
持ち込まず 持ち出さず
自然農40年目の川口さんの田は
豊かな豊かないのちの舞台です。
ふかふかの畝に上がらせていただき
三輪山を背に記念写真を一枚。
田んぼの端の畝には
麦を植え付けておられました。
お米の田植えに似ていますね。
今年は平ぐわで初期の冬草を削り
苗床で育った麦を
一本ずつ移植されたそうです。
冬草は、
牧草やカラスノエンドウが多く
麦の成長のために冬の間に一度
草刈に入られるそうです。
麦の上からこちらの畝も稲わらを蒔かれるそうです。↑
麦の苗床の様子は、
こちらのブログに掲載させていただいています。
さらに田んぼ北側の畑にも
先月、畝を整えられていた場所に
麦がきれいに並んでいました。
夏草が一生を終えて
畝をふかふかにしています。
左側の大きめの畝2本には小麦
その隣には大麦 ライ麦
さらに隣の畦沿いの畝にはライ麦だそうです。
冬の田畑は静かな佇まいです。
冬には冬の美しさを豊かに感じる
川口さんの自然農田畑・・。
冬野菜や麦たちは
これからはじまる厳しい寒さのなかで
亡骸の層がたっぷりの畝に抱かれて
そのいのちを全うしてゆくのですね。
師走の空は美しく
なだらかな三輪山の稜線に心なごませ
目の前に広がる川口さんの田畑は
美しい一枚の絵画のように見えます。
ただただそこにいるだけで
静かに満ち足りた想いがあふれてきます。
自然とともに生きることの清々しさ豊かさが
深く身心に伝わりくるのです。
さぁ、こちらは田んぼ南側の畑です。
麦の苗床だった場所もすっかりもとに戻され
次の季節の作付けを待っています。
ピーマン 唐辛子 ナスなどの
夏野菜が終わり
茎枝が残されています。
写真では見えにくいのですが
ピーマンと唐辛子の条間に
えんどうの種が降ろされています。
またナスの株間にも同様に。
↑ 手前はゴマが栽培されていた畝ですね。
こちらもゴマの茎や夏草が還されています。
太陽の光を受けて
キャベツが元気に並んでいました。
畝の豊かさを体感いたします。
次に、田んぼから少し歩いて
果樹のある畑を見せて頂きました。
人参がとても元気です。
昨年はネズミに食べられることもあったと
お聞きしましたが、今年は大丈夫そうです。
こちらは、春菊です。↓
ライ麦の茎で寒さ除けをされていました。
「冬の間、春菊をいただきたいのでね。」
と川口さん
美しい寒さ除けですね。
これは何でしょうか、とお尋ねしましたら
「夏野菜のオクラの幹に立て掛けて
エンドウにする支柱を乾燥させています。」
とのことでした。↓
畑にあるもので なんでもできる
工夫は楽しい~。‼
果樹の下では、
大根や日野菜が元気に育っています。
今年は豊作ですね。
春には菜の花も見事なことでしょう。
木の下に枯れ枝を積んでおられます。
畑の畝に返されたり
その他、いろいろと使われます。
お米の苗床の鳥よけや
エンドウの支柱になることもあるそうです。
基本的には
野菜の畝で朽ちさせ巡らせるそうです。
自然農40年・・・
それ以前から畑だったこの場所には古い木があり、
その木が枯れるとその足元にキノコが生えるのだそうです。
松の木の下には漢方生薬でおなじみの「茯苓」。
グミの木にもキノコができています。↓
サルノコシカケといわれるものですね。
一つのいのちが終わるときに
生まれてくるいのちがあるのですね。
見上げればビワの木にお花が咲いていました。
ビワの木陰で少し休ませていただきながら
お話しを伺いました。
僕は79歳です。
一年間、今年も田畑に立つことができて本当に良かったです。
自然農は形が決まっていないですし
気候も変化しますし
田畑の様子も変化してゆきます。
その中で新た新たに問題が起きることもありますが
智恵を出して取り組んでいます。
それが自然農に取り組んでいる方々に伝わり
みんなで共有することができる一年でもありました。
これからも年齢に応じた在り方で
豊かに日々生きたいと願っています。
川口由一
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今年も、川口さんの季節季節の田畑の様子や
インタビュー記事など折々に掲載させていただきました。
ブログをお読みくださった皆様、ありがとうございました。
これからも「自然農」の世界をご紹介させていただくなかで
私自身も永続可能ないのち喜ぶ「農」を楽しみながら
学び深めてゆきたいと思っています。
八木真由美 12.30