1966年
サンケイアトムズの補強第二弾が内定した。さる九月五日の第一回ドラフト会議で、アトムズが交渉権を獲得した長野県・塚原学園高の吉江喜一投手(18)=身長1㍍74、体重73㌔、左投げ左打ち=と、広島県・福山電波学園高の浅野啓司投手(18)=身長1㍍75、体重65㌔、右投げ右打ち=が、八日よる、ともにアトムズ入りを表明した。吉江投手は、長野県塩尻市古町の自宅で「プロ野球にはいりたい」とアトムズ入りの意思表示をした。正式決定は、十一日すぎに同球団の宇高勲スカウトと交渉を持ったのちになる。また、浅野投手も同日よる、広島県福山市沖野上町の自宅でアトムズ入りを表明した。正式契約は十六日、本人と同投手の父親光夫さん(48)が上京して行なわれる。これで今シーズン、アトムズが獲得した新人選手は、奥柿幸雄一塁手(静岡商)につづいて三人目になる。
吉江投手獲得がおくれたのには、事情があった。第一回のドラフト会議で吉江投手の交渉権を獲得したサンケイは、宇高スカウトがすぐに長野県松本市の塚原学園高にとんだ。ところが、同校が、国体の出場補欠高に指定されたため、正式交渉は国体終了(十月二十八日)以後にしてほしいという要望が出ていた。このため、宇高スカウトは交渉をいっさい控えていたが、吉江投手自身が、プロ入りの意思をかためたため、このほど、アトムズ入りがきまったもの。吉江投手は、打者のひざもとをえぐる速球が武器の左腕本格派投手。ピンチは、制球力のいいカーブで切り抜けるなど、投球に幅がある好投手。塩尻中学校時代は陸上競技の中距離走者として活躍しただけに、下半身のバネは抜群。加えて塩尻市近郊の山道を走りまわってきたえたからだは大型投手になる素質じゅうぶん。今夏の全国高校野球大会では、一回戦で準優勝校の松山商に延長十一回の末1-0で敗れはしたが、その投球は高く評価されていた。浅野投手は福山電波高校一年生のときからレギュラーとして活躍、スリークォーターからの速球に威力を秘めている。ことしにはいってから一試合平均8三振を奪っており、昨年の夏の全国大会広島県予選では35イニング連続無失点の快記録をつくって、中国地区の高校球界で一、二位を争うといわれた逸材。サンケイのほか日本石油、日本鋼管などノンプロ界の強豪からも、入社をすすめられていた。
吉江投手の話「プロは競争の激しい世界だと思うし、芽を出せるかと、正直のところちょっぴり不安だった。しかし、ぼくは野球が好きだ。ぜひ、プロで自分の力をためしたいという気持ちになりました」
浅野投手の話「野球がなによりもすきだし、プロでやってみたいというのが、ぼくの夢だった。それが実現してうれしい。プロ野球のことは、あまり知らないが、スピード、スケールがずいぶん違うのでやってみなければなんともいえない。森安さん(東映)とは二年のとき、二度投げあったことがある。森安さんのような活躍をしたい」
サンケイアトムズの補強第二弾が内定した。さる九月五日の第一回ドラフト会議で、アトムズが交渉権を獲得した長野県・塚原学園高の吉江喜一投手(18)=身長1㍍74、体重73㌔、左投げ左打ち=と、広島県・福山電波学園高の浅野啓司投手(18)=身長1㍍75、体重65㌔、右投げ右打ち=が、八日よる、ともにアトムズ入りを表明した。吉江投手は、長野県塩尻市古町の自宅で「プロ野球にはいりたい」とアトムズ入りの意思表示をした。正式決定は、十一日すぎに同球団の宇高勲スカウトと交渉を持ったのちになる。また、浅野投手も同日よる、広島県福山市沖野上町の自宅でアトムズ入りを表明した。正式契約は十六日、本人と同投手の父親光夫さん(48)が上京して行なわれる。これで今シーズン、アトムズが獲得した新人選手は、奥柿幸雄一塁手(静岡商)につづいて三人目になる。
吉江投手獲得がおくれたのには、事情があった。第一回のドラフト会議で吉江投手の交渉権を獲得したサンケイは、宇高スカウトがすぐに長野県松本市の塚原学園高にとんだ。ところが、同校が、国体の出場補欠高に指定されたため、正式交渉は国体終了(十月二十八日)以後にしてほしいという要望が出ていた。このため、宇高スカウトは交渉をいっさい控えていたが、吉江投手自身が、プロ入りの意思をかためたため、このほど、アトムズ入りがきまったもの。吉江投手は、打者のひざもとをえぐる速球が武器の左腕本格派投手。ピンチは、制球力のいいカーブで切り抜けるなど、投球に幅がある好投手。塩尻中学校時代は陸上競技の中距離走者として活躍しただけに、下半身のバネは抜群。加えて塩尻市近郊の山道を走りまわってきたえたからだは大型投手になる素質じゅうぶん。今夏の全国高校野球大会では、一回戦で準優勝校の松山商に延長十一回の末1-0で敗れはしたが、その投球は高く評価されていた。浅野投手は福山電波高校一年生のときからレギュラーとして活躍、スリークォーターからの速球に威力を秘めている。ことしにはいってから一試合平均8三振を奪っており、昨年の夏の全国大会広島県予選では35イニング連続無失点の快記録をつくって、中国地区の高校球界で一、二位を争うといわれた逸材。サンケイのほか日本石油、日本鋼管などノンプロ界の強豪からも、入社をすすめられていた。
吉江投手の話「プロは競争の激しい世界だと思うし、芽を出せるかと、正直のところちょっぴり不安だった。しかし、ぼくは野球が好きだ。ぜひ、プロで自分の力をためしたいという気持ちになりました」
浅野投手の話「野球がなによりもすきだし、プロでやってみたいというのが、ぼくの夢だった。それが実現してうれしい。プロ野球のことは、あまり知らないが、スピード、スケールがずいぶん違うのでやってみなければなんともいえない。森安さん(東映)とは二年のとき、二度投げあったことがある。森安さんのような活躍をしたい」