気仙沼に初カツオがあがった。
早ければ良いというものでもないが、初カツオは春の訪れを知らせる。
南の海で生まれたカツオは、北上しオホーツクで一人前になって帰ってくる。
気仙沼あたりを北上していく初カツオはまだ若いカツオで、脂の乗りは当然少ないが、締まった赤身の肉質はさっぱりとしていて実に美味しい。
初カツオは通好みの味わいだろう。
この初カツオに合わせるワインにイタリア・フリウリの“ゴシップ”はいかがだろう。
フリウリは、イタリアの白ワインの聖地と呼ばれる土地。
イタリアとオーストリア、スロヴェニアとの国境にあるのがフリウリ。
文化的にも、イタリアらしくないところで、住人は生真面目な人柄とか。
このフリウリに、ディ・レナルドと云う評価の高いワイナリーがある。
そのディ・レナルドから“ゴシップ”と云う名前のワインがクアトロに入荷。
このワインは、白ワインである。
ロゼワインのように見えるが、ピノ・グリージオと云う灰色のブドウの皮を浸して作るため、皮目からこのような色とコクが出るワイン。
このゴシップが、白ワインでは物足りないが、赤ワインでは重すぎるような、「カツオの和風サラダ仕立て」に良く合う。
江戸っ子が競って食べる初カツオ。
豊四季っ子は、クアトロでゴシップというワインと共に競って初カツオを食べるのだろうか。
クアトロは、日本酒を扱う変わったイタリアンである。
そのきっかけが、群馬県川場村永井酒造の“水芭蕉”に出会ってからのこと。
永井酒造のある川場村は大和武尊の名前をもらった武尊山(ほたかやま)の梺にある。
村には山からの雪解け水を集めたいくつかの小さな川が流れ、その小さな川が集まり利根川の大河となる。
永井酒造の敷地には、武尊山からの伏流水が湧き出ている。
その水は酒造りに理想的な軟水。
まずは美味しい水と恵まれた自然がありき。
それら地の利を活かし、昔ながらの伝統をも重んじつつ、近代化を進め新しい日本酒の境地を開こうとしている蔵がこの永井酒造である。
すっかり水芭蕉がお気に入りのクアトロの父である。
そして、この蔵の水芭蕉・春酒が今年もクアトロに入荷。
水芭蕉ならではの青リンゴやラフランスのようなフルーツ香に、優しい甘み、そしてキレのある旨味。
今日は、さかなへんに春と書く鰆のカルパッチョに合わせてみよう。
色々と映画を観ていると、お宝映画に当たることがある。そのひとつに「ベスト・キッド2」を挙げることが出来る。
「ベスト・キッド」一作目は、とても良く出来ていたが、この「ベスト・キッド2」はひどい。
沖縄を舞台にしているのだが、その沖縄の描き方があまりにもひどすぎる。
やたらにお辞儀をしたりするのはまだ良いのだが、台風のシーンや祭りのシーンなどは、もう笑うしか無い。
電電太鼓のラストも笑撃である。
それでもこの映画の日本らしい教訓は良かった。
空手道場にも、二本の掛け軸がある。
“空手無先手”
“先正其心”
とある。
「ミヤギ、これは何」
「ダニエルさん、これ空手のルールです」
「ナンバーワン、空手は攻撃をしません」
「ナンバーツー、迷ったらルール・ナンバーワンに戻りなさい」
「ダニエルさん、わかりましたか」
これは、なかなかウンチクのある言葉だ。
クアトロの父も、その空手の心を継承するのだった。
“クアトロ有素材”
“先正其心”
クアトロはまず素材ありき。
素材の美味しさをどう引き出すかが大切だ。
そして、迷ったらルール・ナンバーワンに戻る。
クアトロは、明日も厳選した素材をどうベスト・キッドするのか・・・
クアトロの父のお気に入りアニメが「はたらく細胞」。
実写版も評判だが、クアトロの父的にはアニメが面白い。
キャラや設定がとても絶妙。
クアトロの父の体内でも、はたらく細胞たちが、頑張ってくれているのだなと感謝している。
そして、クアトロの父は、はたらく酵母を操っている。
ピッツァ生地やパン生地を仕込むクアトロの父。
今日は、イースト(酵母)のはたらきをコントロールしながらパンを焼いたクアトロの父。
クアトロの休日に、はたらく酵母の傑作ワインとともに食べようと思う。
クアトロの父の作るピッツァ生地も、よろしく。
以前、原田マハの「キネマの神様」を読んで、クアトロの父のようなロートル映画ファンからすると、とても面白い話だった。
いずれ映画化されるだろうと思っていたが、山田洋次監督で映画化され、その作品を鑑賞した。
話は、山田洋次監督らしい映画制作のノスタルジーが盛られ原作とも違う趣があって良かった。
原田マハの方では、シネマの神様は、映画館に住んでいるが、山田洋次監督の方では、フイルムの駒と駒の間にいるらしい。
どちらでも良いのだが、クアトロの父もキネマの神様を信じているのだが、このところ映画館でフイルムの映画を観ていないので、キネマの神様に申し訳ない思いだ。
クアトロにも、生パスタの神様が宿っており、お店に住んでいるのか、生パスタに練り込まれているのかは確認されていないが、今日も生パスタの仕込みに励み、生パスタの神様を呼び込むクアトロの父である。