クアトロに銚子産の真イワシが入荷した。
銚子のイワシはゴールデンウィーク後から初夏までが旬だ。
脂の乗りが良くいちばん美味しい時期で、この頃のイワシを入梅イワシとも呼ぶ。
しかし、イワシも今ではすっかりと高級魚になってしまった。
漁が少なくなったこともあるのだろうが、食べる側も選択肢が増えて、美味しいものだけを食べるのだから、イワシも入梅イワシだとかブランドものを好む。
クアトロもそんな罪の一端を担っているのだろうか。
今年のイワシ漁はどうだろうか。
イワシを追ってブリやカツオもこれから楽しみだ。
高級魚になったとは云え、まだまだ庶民の楽しみのイワシ。
クアトロでイワシの刺身でも食べながら季節の変わり目の疲れを癒したいものだ。
美味しい旬の時期にしか食べない罪の意識は、ちょっとお酒のむこうに置いておこう。
クアトロの父の学生の時の夢は、一に映画監督、二に喫茶店経営であった。
現在レストランをやっているのだから第2志望合格というところか。
クアトロの父は映像関係の学校へ行っている時に喫茶店でバイトしていた。
クアトロの父がバイトしていた店はジャズ喫茶でありコーヒー専門店でもあった。
「WE'RE NO.1」がキャッチフレーズだった。
ストレート・コーヒーはモカはこういう味でキリマンジェロはこういう味でコロンビアどうだこうだとお客様に説明する。
ブルーマウンテンとなると、店員も緊張してサービスする。
コーヒーの神髄はストレートかブレンドかとスタッフ同士で口論したこともあった。
アレンジ・コーヒーもコーヒーの楽しみである。
昔はカフェ・オ・レはカフェ・オーレもしくはミルクコーヒーと呼んでいた。
ウインナ・コーヒーにウインナ・ソーセージは付いてこないのかと云う客もいた。
カプチーノは、ウインナ・コーヒーにシナモン・パウダーを振りかけ、シナモン・スティックを添える。
そのシナモン・スティックの手にするところには銀紙が巻いてある。
そんな時代も懐かしく思うクアトロの父。
今、クアトロでクアトロの父は、ワインはブドウ品種ごとに味が違うんですよとか、そのブドウの組み合わせでどうのこうのと説明する。
そのブドウ品種別に飲むグラスワイン特集を企画中のクアトロの父。
昔を振り返ってWE'RE NO.1の気概を持って臨むクアトロの父である。
クアトロの父の若かりし時、コーヒー専門店のカウンターマンだった頃、ホットサンドも人気メニューだった。
パンに卵焼き、コンビーフ、スモークチーズを挟んで焼く。
これが旨かった。
その頃のカウンターの洗い場には、パッパラ河合君がいた。
それはともかくとして、このホットサンドにストラッキーを挟むのも美味しい。
ストラッキーとは、今のタレッジョのこと。
ストラッキーとはイタリア語で疲れたと云う意味だとか。
山から牛を平地に下ろしてくる牛追いが疲れている様子から付けられた名前とか。
しかし、このチーズを食べると疲れがとれる美味しさだ。
爆風スランプの歌を聞くように元気になれるチーズだ。
昔懐かしく、ホットサンドにして食べてみたいと思うストラッキーなクアトロの父だ。
ゴーダチーズと云えば、赤いセロハンに包まれたオランダを代表するハードタイプのチーズ。
クアトロの父の若かりし時、コーヒー専門店のカウンターマンだった頃、そのゴーダをカットしてスライスチーズにする。
イギリスパンにトマトソースを塗り、ハム、オニオン、マッシュルーム、ピーマンを乗せて、ゴーダチーズのスライスを乗せてオーブンで焼く。
このお店の人気メニューだったピッツァトーストである。
このピッツァトーストには、チーズはゴーダチーズでなくてはならなかった。
その思い出のゴーダに山羊乳の白いゴーダがあると云う。
そんなゴーダを認められるか。
クアトロの父の青春の思い出はどうなるんだ。
と、思ったらこれが美味しい。
新しい、クアトロの父の思い入れのチーズになりそうである。
この白いゴーダには、このワインでなくてはならない。
などと、言い出しそうである。