駆け落ちした娘(宮本信子)が子供を連れて田舎の父親の元に帰ってくる。
迎えた父親(森繁久彌)は、その娘に説教をする。
「帰れ。
帰る場所があると思うからいけない。
帰る場所があると思うから辛抱できないんだろ。
俺も長いことはないぞ。
どこか良いところあると思ったから駆け落ちしたんだろ。
帰る所が無いと思ってその男の良いところを褒めてやれ」
脇で聞いていた寅さんも納得する。
「そうだ、そうだ、いつでも帰る場所があると甘えているから、俺も一人前になれねえ」
それでも、やっぱり故郷は良いなと、柴又が恋しくなる寅さんだ。
(「男はつらいよ 純情編」より)
「食べれ。
クアトロのおすすめはいつまでもあると思うからいけない。
そのうちに食べようなんて辛抱するからだめなんだ。
今日のおすすめのイバラエビも長いことはないぞ。
この甘みのある美味しさにはめったに出会えないぞ。
今しか食べられないんだから、ワインでも合わせて食べてやれ」
クアトロの父も、誰とも無く説教をするのだった。