桜の季節に桜色をしたエビ、短い旬にぱっと登場してぱっと姿を消す。
桜エビとはよく云ったものだ。
その桜エビが今年もクアトロに登場。
「桜エビと春キャベツのスパゲッティ」¥1400がスタートした。
桜エビをニンニクとアンチョビを利かせたたっぷりのオリーブオイルでソテーする。
桜エビの殻が香ばしく弾ける。
冬の寒さに耐えた春キャベツはさっと塩ゆですると甘みが増す。
その桜エビと春キャベツの鍋に茹であがったスパゲッティが投入される。
そして、ここからがプロの腕が冴える。
ニンニクとアンチョビの風味を移したオリーブオイルと桜エビと春キャベツの旨味とパスタのゆで汁を鍋の中で一体化させる。
水性の旨味をオリーブオイルが包み込み結晶となり、その状態を安定させる。
これがパスタの乳化だ。
マヨネーズでは、卵黄の力を借りるが、このパスタでは鍋を素早く振るその手際で補う。
たっぷりのオリーブオイルが使われているのに、オイルっぽくなく最後までさっぱりと食べられるのが理想。
春を満喫できるクアトロ自慢のパスタだ。
クアトロ伝説のパスタ“ウニのクリームソース”を注文する。
何が伝説かと云うと、このウニのパスタを食べると妊婦は安産だとか、泥酔して食べるとパスタに頭を絡めて寝てしまうとか、食べ続けるとクアトロ痛風友の会に入会していたとか、あまたの都市伝説がまことしやかに囁かれている。
そんな、ウニのクリームソースが運ばれてくる。
何とも彩りが食欲を誘う。
全体がクリーム色で、そこに野菜の緑や赤や白が映える。
香りにもうっとりとする。
そして、パスタをフォークに巻き付けると、腰のあるパスタがプリプリっとしている。
これは、楕円形のパスタ・リングィネである。
食感ももちもちっとしていてウニのソースのなめらかさと対をなしていて素晴らしい。
さて、ウニの味わいはと云うと、ウニ嫌いの人の云うところの臭みが無い。
甘みの奥から複雑な旨味が口に広がる。
昆布だしを濃縮したような味わいである。
気づくと食べ終わっていて、その余韻を惜しむように、皿に残ったソースを丁寧に拾うようにフォークを動かしていることだろう。