あれは中校生の頃だっただろうか。
叔母に連れられて喫茶店に入った。
当時の喫茶店は、暗くてタバコの煙で空気が悪く、とても健全なところでは無かった。
叔母が注文した「サヴァラン」なるケーキを一口貰って食べた。
お酒が効いているケーキだ。
何て美味しくて、おしゃれな食べ物だと思った。
何やら覗いてはいけない大人の世界に踏み込んだ気がしてドキドキしたものだ。
チーズにも、「ブリヤサヴァラン」という名のものがある。
どちらも、フランスの美食家ブリヤ・サヴァラン氏(1755-1826)の名前をいただいたものだ。
チーズの方のブリヤサヴァランは、シャンパーニュで作られる白カビのチーズに生クリームを混ぜ込んで乳脂肪75%、トリプルクリームという分類のチーズ。
味わいはクリーミーで濃厚だが、後味は爽やかである。
高脂肪は良くないとされるが、このチーズを口にするとそんなことは、もうどうでもよくなる。
このブリヤ・サヴァラン氏の著書に「美味礼讃」がある。
彼の言葉で「チーズのない食事は片目を欠いた美人のようなものですね」というのがある。
彼は政治家でもあるので、現代だったら、不適切な表現とされるかもしれないが、云いたいことはよくわかる。
チーズのブリヤサヴァランに、泡ものを合わせてみた。
これは美味礼讃である。
この年末に、クアトロで泡ものを飲みながら、大人の世界に踏み込んでみよう。
※29日(火)30日(水)は、勝手ながら連休させていただきました。