日傘を手に文化センターへ急いだ。灼熱の陽は、道を跳ね照りかえり足下まで暑い。入り口に真白の花は梔子、熱気のなかにつよい芳香を放っていた。どんなドラマが待ち受けるのだろう。
シェイクスピアの冬物語を観る。
突然起こった疑念が嫉妬になり、王妃ハーマイオニも
生後間もない王女パディータをも
亡きものにしたシチリア王リオンティーズ(平幹二朗)。
こうして前半は悲劇で始まるが、
後半、喜劇へと思いがけない展開をし、巧みに観客を誘う。
舞台はシェイクスピアの願い、悲劇は紛争や対立、喜劇は和解、平和。
ストーリーはいつまでも新しい。
くりかえされ懲りない人たち、学ぶことはないだろうか。
とくに、折からの後白河法皇が演じるシチリアの王。
猜疑心強く嫉妬に狂う、
膨大な台詞、豪華な衣装、魅力にあふれ引きこまれた。