近場でも今はもみじが見ごろ。 森や林の名もしらぬ雑木も草も、 紅葉、黄葉の彩りで歓声を上げてむかえてくれる。 車は桜紅葉を追うように土手をしばらく走った。 やがて並木が途切れ
秋の野のおしなべたるをかしさは、薄こそあれ… (枕草子)
畑中の薄は老いて 白いゆらゆら髪で立っている。
きのうの午後、 母の見舞いに行った。
ノートに体調のこと、 連絡事項などみなが残していて
きょうの会話も記録しておく。
「わたし いくつだっけ…」 (105歳)
「へぇ、ずいぶん長生きねぇ 運命だね…」
「山茶花は品のよい花ね」 (家の庭に咲いてる花は)
夫婦とも自分の将来をかさねてみている。
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初冬(ハツフユ)や竹伐る山の鉈(ナタ)の音 漱石
初冬や庭木にかわく藁の音 犀星
遠く近く 音がする
冷気が澄んで冴えている
乾いたこえは風に運ばれ
小犬の耳に
水面に魚のはねる音 水浴びの鴨 噴水の飛沫
みつめる若い瞳…
犬の背中に 赤い木の葉のしぐれ降る