対決 巨匠たちの日本美術
優れた芸術家をふたりずつ組み合わせ 作品の比較をする、 直接の影響関係がない場合でも、 対照の妙が見えてくる。
オモシロイ企画を素直にたのしもうと思ったが。 挑むような作品に圧倒され、 思いも熱く、 深くなってゆく。
対する巨匠が火花を散らすようで、 観るほうだって気が抜けない。 執念を感じるものやダイナミックな作品、 華麗な対決など。
この日、夜色楼台図はなかった。 猛暑に対決すべく、 心ゆくまで美の遍歴を試みる。 展示替えにあわせ通わなければ、 もったいない。 川音がきこえ 群鶏が騒ぐ、 3時間かけても まだ足りなかった。
・運慶 vs 快慶 (人に象る仏の性) ・雪舟 vs 雪村 (画趣に秘める禅境)
・永徳「檜図屏風」「梅に水禽図」 vs 等伯「萩芒図屏風」 「松林図屏風」 (墨と彩の気韻生動)
・長次郎「黒楽茶碗 銘俊寛」「赤楽茶碗 銘無一物」
vs 光悦「黒楽茶碗 銘時雨」 「赤楽茶碗 銘毘沙門堂」 (楽碗に競う わび数寄の美)
・宗達「槙檜図屏風」「蔦の細道図屏風」「秋草図屏風」
vs 光琳「竹梅図屏風」「白楽天図屏風」「流水図乱箱」 (画想無碍・画才無尽)
・仁清 「色絵吉野山図茶壺」vs 乾山「色絵紅葉図透彫反鉢」 (彩雅陶から書画陶へ)
・円空 vs 木喰(仏縁世に満ちみつ)
・ 大雅「宜秋図」 vs 蕪村「課農便図」(詩は画の心・画は句の姿) :
・若冲「仙人掌群鶏図襖」 vs 蕭白「群仙図屏風」 (画人・画狂・画仙・画魔)
・応挙「保津川図屏風」 vs 芦雪「海浜奇勝図屏風」 (写生の静・奇想の動)
・歌麿「婦人相学十躰・浮気之相」 vs 写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」 (憂き世を浮き世に化粧して) ・鉄斎 vs 大観(温故創新の双巨峰) (写真 チラシから)
蕪村 「鳶鴉図」 詩情豊かな雪。 凌ぐ鴉。 雪… 墨でもって弧を描き角で攻めていく塗り残し。 強風に煽られる白い雪片のいきいきとした描写。 鴉の背中に降る雪、 融ける雪。 暴風雨に立ち向かう鳶の、すがた、 鋭い眼光。 ひっそりと暮らす詩人の、 大作。
光悦・宗達 「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」 下絵を活かす 絶妙なるバランス
もう一度 かならず見に来よう きょうの ユリノキ