伊呂波もみじ、そしてドウダンツツジ。
いち早く燃える秋色になって、日差しを受けてきらきらしてる。
あと二~三週間で木の葉は落ち、しんと静まりかえるのに、今はめいっぱい燃え立つ樹々。
立ち止まってじっとみてしまう。
秋は夏よりよほど元気をもらうのですよ、わたしの場合。
子どもの頃から秋が一番嫌いだった。
夏休みが終わってしばらくすると、憂鬱が始まって、そして暗い秋がやってきた。
何年もそれが続いたからオトナになって秋がうっとうしいのがあたりまえになって
理由さえ忘れていた。
思い出すとますます嫌さ加減が増すような理由だったので、ある日そうかと思いあたり
なおさらはっきりと秋が怖くなってしまった。
秋にはあたまからふとんをかぶって表に出ない、そんな気分。
11月から翌年の春まで、わたしは暗い子になってすごしたものだ。
オトナになった暗い子は行楽でにぎわう周囲を唾棄して眺めていた。
いろんなことが去ってしまって、今見る秋は命燃える季節。
ただそれだけ。
なにもかもすぎてゆくことを教わるんだな、森にいると。
そういえば初めてここへ来た頃は、おずおずとアキイロを眺めていたっけ。
心、しばられたままで生きるのはもったいないことです。