想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

死ぬなかれ、草枕

2009-10-19 01:57:32 | Weblog
非人情的自然観賞の一日。
夏目漱石の「草枕」の冒頭から10数頁までにある画工の
なにゆえに喧騒を離れて旅するかの説。
そして、この中途半端な紅葉を満喫。
半端なれど人の憂える顔を思うことに比べればどんなに
マシなことか。

自殺しないでくれ。
ニュースがかけまわるので直接知らない人の自殺を知ることに
なる。熊本で父親が病死、30歳代の子ども二人が自殺。
子どもの頃の最初のアイドル、加藤和彦さんの死。
死、と自殺という言葉があっちにもこっちにもあって、
たまらないので、本棚から「草枕」を取り出したのであった。

死なないでくれ。
人の世の愚かと悲惨。人の想念にスイッチが入るとさらに
深まる悲哀。人情の河に溺れる。

スイッチの切り方がわからなくなる重症の死にたい病。
そんな時も目を開いて、自然の変わらぬ様に嘆息している間は
人の頭には何も浮かんではこない。人情は一休み。
ただ眺めているだけ。ただ時のなかに佇んでいれば心静まる。

借金があろうと、家がなくなろうと、命だけはとられない。
命が尽きるまで、生きてくれ。
生きつないで、欲から離れた世界を堪能してくれ。
それにも飽きたら、それからだって遅くない。
そしたら安堵して死ねるのだから。
でも地球の自然はでっかいよ。日本の四季はめぐるよ。
そう簡単に飽きやしないさ。

もうやりたいことがなくなった、なんて言わないで、
なんにもせずに生きるんだって楽しいのだから。
それを極楽極楽と言う人だっているんだよ。
知らないことがたくさんあると、まだまだあると、
空や木を見上げて、自分のことを忘れるといい。
死にたくなったら、自分から離れて、自分を捨てて、
命だけになって生きればいい。人は時に癒されるんだから。
自然は時、この国はすぐそばにある。

なまじっか自分を大事にしすぎると死にたくなる。
自分なんて捨ててしまって、生きていけないか。
りっぱじゃなくてどこが悪いと、生きていけないか。
長生きして、老人力をぶんまわして生きる。
ただ居るだけの人になって生きる。

それを試すまえに死ぬなかれ。





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