心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

湖北の山小屋

2006-05-07 11:01:58 | Weblog
 お天気に恵まれたこの連休に、湖北の山小屋へ出かけました。ずいぶんご無沙汰でしたが、積雪の多かった今冬もなんとか凌いでくれて、萌える若葉が私たちを温かく迎えてくれました。森の木々だけではありません。すれ違う方々お一人お一人から、麦藁帽子をとって「こんにちわ」とご挨拶をいただきました。慌てて「こんにちわ」と。初めてお会いする方々が圧倒的に多いのですが、こんな自然な出会いに都会とは違う人の社会を思いました。考えてみれば、私たちは挨拶というものをしなくなったような気がします。通勤電車の中では、いつも同じ車両に乗る方々が多いのですが、よほどの知り合いでない限り挨拶なんかしたこともありません。変にしようものなら何か胡散臭い印象を与えてしまう。結局、みな押し黙って車窓を眺めるか、新聞を読むか、それとも携帯メールを器用に操るか。なんとも、味気ない人の社会を思います。だから、湖北の郷で、やっと人の情に出会う、そんなところが気に入っています。
 大雪のために故障したガス湯沸し器の修理をお願いしたら、元気なお兄さんがやってきてくれました。都会育ちの彼は、ここにきて4年を経過したのだと言い、今年の雪は例年になく多かったこと、お山の上では2メートルを優に越えていたこと、ゴールデンウィークは修理の依頼に追われて忙しいこと、修理を終えて帰る途中イノシシの親子に追いかけられたこと、連休が終わったらお休みをいただいて親元に帰る予定であることなど、楽しくお話してくれました。豊かな自然環境と村の人間関係に満足していて「あとはお嫁さんだけです」と。清清しい青年でした。
 私がこの村に来たのは、長男が中学校に進学した頃でしたから、もう14、5年が経過します。お休み毎にやってきては、山登りをしたり、川魚を採りに行ったり、少し遠出をして琵琶湖に泳ぎに行ったり、近くの温泉に行ったりしたものです。学年が進むと、長期休暇を利用して受験勉強の場になったりもしましたが、子供たちが巣立っていくと、夫婦だけで訪れる機会が多くなりました。里山を散策しながら、工芸用のアケビの蔓を採ったり、陶芸用の土を探したりと、ちょっぴり奥さん孝行もはじめました。その一方で、腕時計を外してオテントウサマの動きに我が身を委ねる生活時間に満足している自分自身にも気づきます。贅沢な時間を楽しみました。
 今回は、少し遠回りをして帰りました。そう、近江今津から船に乗って湖上に浮かぶ竹生島に上陸、神社仏閣を拝観して後、対岸の長浜市に向かいました。知らなかったのですが、長浜は、大河ドラマ「功名が辻」の主人公、山内一豊・千代ゆかりの地ということで大勢の観光客が訪れていました。人ごみを避けて小さな温泉宿に避難(?)して、一服して帰途につきました。
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