お盆休みになりました。海外旅行やお里帰りと、わが街も少し静かになるのかと思っていたら、ふだんよりも子供たちの数が多いのに気づきました。久しぶりにお孫さんたちが実家に帰ってくるご家庭、単身赴任のご主人が帰ってくるご家庭、なにやら賑やかです。昭和40年代後半に開けた街ですから、住民年齢は意外と高く、わたしなどは新参者に属します。といっても、我が家もふだんは夫婦2人だけ。ご近所同様に、この季節になると子供たちが帰ってきます。それに今年は、娘が大きなお腹をして帰ってくるので、だんだんと高齢者世帯に仲間入りすることになります。
ところで、昨日、気分転換に滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山(標高1,377m)に登ってきました。といっても、山頂駐車場まで車ですから、実質的には100m登っただけです。でも、さすがに山頂です。気温は、麓より10度も低い25度前後。琵琶湖を眼下に眺めながら、心地よい風を楽しみました。この山頂では四季折々の草花を楽しむことができます。たくさんの高山植物が大事に保全されていて、この日もシモツケソウ、イブキジャコウソウ、ルリトラノオ、コオニユリなど美しい草花が、わたしの疲れた「こころ」を癒してくれました。
実は数日前、FORESTという環境音を収録したCDを何気なく聴いていて、伊吹山ハイキングを思い立ったのです。あまりの暑さに耐えかねてクーラーがフル回転する部屋のなかで、ぼんやりと聴いていて、「これは違う」と思いました。森の空間のほんの一部を切り取って、それを表現しようとすること自体に違和感のようなものを感じました。鶯の鳴き声も、しんとした森のなかで聴いて初めて鶯なのであって、人工空間のなかでは機械音にしか聞こえてこない。雑踏のなかで時々出くわす野鳥の「音」に近い。それが自動車や電車の金属音でかき消される。これは違う、と。そんなわけで、急に思い立った夏山ハイキングでありました。山頂で、鶯のさえずりを楽しみました。歩道のすぐ近くにいました。
なにやら衝動に駆られての行動であったのかも知れません。ここまで書き終えて、ふと目の前の窓に目をやると、庭木の梢の陰でヒヨドリが1羽、羽根を休めて、わたしを見つめています。わが街にもおおきな自然の営みがあります。