心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

轍(わだち)

2008-03-02 10:30:34 | Weblog
 久しぶりに晴れやかな休日の朝を迎えました。3月を迎えて、ここ大阪の朝方の気温は4度。一進一退を繰り返しながら、かすかに「春」の足音が聞こえてきそうです。少しウキウキ気分も手伝って、きょうのBGMはベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24<春>」を選びました。演奏は、アルゲリッチのピアノ、クレーメルのヴァイオリンです。
 3月のカレンダーをめくり、ぼんやりと椅子に座ってこの1週間を振り返ります。会議、採用面接、経済団体の会合、出張......。あっという間でした。あと数週間は息が抜けません。だから、せめて日曜日ぐらいはゆったりとした時間を過ごしたい。ステレオのボリュームをぐんとあげて、音の世界に身を置きます。
 仕事といえば、2日前の夜遅く、物置の奥の段ボール箱をひっくり返して昔読んだ法律関係の本を何冊か持ち出しました。大半は学生時代のものです。我妻栄の「民法」(一粒社)、川島武宣の「民法総則」(有斐閣)など。仕事のなかで「権利能力なき団体」「代表権」という言葉の理解が必要になって、ぼんやりと「そういえば昔習ったことがある」というわけです。他愛ないことですから用件自体はすんなり解決したのですが、久し振りに民法なるものを眺めて、それが私の仕事のベースになっていることを改めて知ることになりました。法曹界とは無縁であっても、大学時代に染みついたリーガルマインドのようなものが、私の30数年の仕事生活を支えていたことになります。といっても、あまり勉強はしませんでしたが。少し読み返してみようと思っています。
 やはり人の一生というのは、漠然としているようで、ひとつ繋がっているように思います。どういう場面に身を置こうとも、生身の人間としての私がいます。泣いたり、笑ったり、怒ったり、落ち込んだり、楽しんだり...その総体としての「私」が存在します。その時々の積み重ねのうえに、今があることを思います。情報の氾濫、価値観の多様化などと言われ、根無し草になりかねない現代人にとって、ときどき足元を見つめなおす時間が必要なんだと思いました。
 部屋の窓辺に暖かな春の日差しが眩しく輝きます。さぁ、きょうはこれぐらいにして、愛犬ゴンタと一緒に花壇のお手入れでもすることにいたしましょう。
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