心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

ローマ人の物語

2009-09-20 09:08:00 | Weblog
 昨日始まった連休をシルバーウィークと言うのだそうです。なにか聞き覚えのあるネーミングですが、11月初旬の祝日前後も、同じように呼んでいたと思います。でも、そういうことはどうでもよいこと。お休みが増えるのは心身ともにリフレッシュできるという意味で、歓迎すべきことなんでしょう。でも、9月の5連休が次に登場するのは6年後のようです。ということは、ひょっとしたらリタイアした後、私にとっては毎日がお休みの時代なのかもしれない、と思うと何か忙しなくなってきます。
 そんな休日の朝、愛犬ゴンタと近くの里山を散歩しました。まだ木々が色づくのは早いものの、秋早朝の空気を肌で感じると、今年は意外と早く紅葉が見られるかもしれないと思いました。爽やかな秋空とひんやりした森の息遣い。ドングリの実も充実度を増しています。秋といえば結婚式の季節。明後日は部下の結婚式でもあります。
 ところで、前回の更新の際、ひさしぶりにアンドレア・ボチェッリに触れました。昨日帰宅途中には、買いそびれていたCD「サンタ・ルチア~魅惑のイタリアン・ソング」を手にしました。掲載した写真は、そのCD。今朝、散歩の途中で分けていただいたハナミズキの赤い実と葉っぱを添えてみました。
 ここ数年、「イタリア」から少し遠ざかっていたのですが、急に思い立って、読みかけの塩野七生さんの文庫本「ローマ人の物語」27巻(すべての道はローマに通ず)を開きました。昨日、書店に寄ってみると、いつの間にか37巻まで出版されていました。
 「ローマ人の物語」に手が伸びたのは、ボチェッリだけによるものではありません。先日、東京に行って何か落ち着かない感覚に襲われたのも理由のひとつです。世の中が大きく変わろうとしている時の身の処し方。私は官僚でもなんでもありませんが、以前、似たような感覚に襲われたことがあります。それは、社内に政争が起きた時でした。その時期、私は、この「ローマ人の物語」を読んで、塩野さんの鋭い歴史観、時代を見通す視点に、おおいに勇気づけられたことがあります。ひょっとして、今の私はそういう気分なのかもしれません。
 「すべての道はローマに通ず」をぱらぱらめくっていると、社会資本としての、あるいはインフラストラクチャーとしての「道」というものが、ローマ人特有の時代精神に根付くものであることを知ります。10年前にイタリアを旅したとき、自分の足でアッピア街道を体感したことがあります。そして2年前には、中国は万里の長城を自分の足で登りました。このふたつの歴史的遺産を、塩野さんは、人の往来を断つ防御としての「長城」と、人の往来を促進するものとしての「街道」とを対比させながら、ローマ人特有のネットワーク思考、多様性に着目します。キリスト以前のローマは多神教でした。敗者を従属させるのではなくローマ市民として受け入れることで、あの巨大なローマ帝国は形成されていった。その多様性こそが1000年にわたるローマ帝国を支えたのです。
 そのことは、取りも直さず政権交代なった日本にも突き付けられた時代的テーマであろうと思います。私たち一人ひとりに突き付けられた課題でもあります。・・・・・・・・あぁ、あまり難しく考えるのはよしましょう。今日は久しぶりに孫君がやってくるようですから、そろそろ良きお祖父さんに変身しなければ・・・・・・・・・。
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