心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

師走の街を歩く

2014-12-14 09:56:00 | Weblog

 ジョルテ(電子手帳)をみると、先週もいろいろありました。やはり年内に片付けておきたいことが多すぎるんでしょうね。週の前半2日間は終日缶詰めの会議、水曜は梅田界隈に出かけ、木曜は一息ついて忘年会、金曜は京都に出かけ、土曜日は東京にまで足を伸ばしました。そんな仕事の合間に、しっかりと心に「ゆとり」をもつ、これは私の得意ざわでもあります。(笑)
 水曜日は、仕事が早く片づいたので、夕暮れどきの梅田・茶屋町界隈を散策しました。雑踏のなかに紛れて、街の風景、匂いを肌で感じました。日が暮れた頃、街のいたるところに人の輪が。覗いてみると、若者のグループが蝋燭の入った小さなガラスコップを並べています。そして一つずつ火を灯しています。ぱっとあたりが明るくなりました。そこに人々が集まってくる。なんと、「100万人のキャンドルナイト」の催しでした。心温まる風景でありました。
 京都では、同業他社の某女史のお話を聞きました。彼女は仕事の再定義と発信、なによりも自分を取り巻く環境、他者を感じる力の大切さを力説してくれました。そういえば、「心の風景」のタイトルに込められた思いも、そんなところにありました。前のめりになりがちな私にとって忘れてはならないことです。
 そして昨日は久しぶりに東京にでかけました。いつものように、少し早めに家を飛び出すと、午後の仕事の前に向かったのは神保町でした。お昼の1時間ほどをかけて古書店街を散策しました。この日は、澤口書店でしっかりと品定めをしました。そこでお目にかかったのは新井恵美子著「岡倉天心物語」(神奈川新聞社)。夏に読んだ「津田梅子」に続いて明治初期に活躍した人々の生き様に関心があります。ちゃっかり、その横に並んでいた竹久夢二著「風のように」(龍星閤)もいただいて帰りました。こちらは大正ロマンの人。しめて2600円なり。そうそう、澤口書店さん、お隣に4店目も開店されましたが、2階に上がってみると、なんとコーヒーをいただける喫茶店風の空間に様々なジャンルの本が並んでいました。新しいスタイルの古書店をめざしていらっしゃるようでした。
 神保町から内幸町に移動すると、午後の仕事までに少し時間があったので、虎ノ門界隈を散策しました。伺ったのは、のっぽの虎ノ門ヒルズ。ちょうど都心部に高層ビルを建てる仕事をしていたので、低層階の雰囲気を見て回りましたが、なんとも広々とした穏やかな空間に、都会のオアシスを見つけたよう。ここでも主役は若い女性たちの存在でした。3階のコンビニも、コンビニらしくないコンビニ。いろんな気づきをいただきました。
 この日の目的地は霞ヶ関ビルでした。部屋の窓から外を眺めると、目の前に先ほど立ち寄った虎ノ門ヒルズ、その横に東京タワー。驚いたのは、景色の向こうに東京湾が見えたことです。地面を歩いていると気づきませんが、こうして高いところから東京を眺めると、位置関係が手に取るようにわかります。こんなに海が近かったのかと。黒船がやってきた時代、江戸城のお方はさぞ驚かれたことでしょう。
 帰途、新幹線の中で「岡倉天心物語」を読みました。平易なタッチで書かれた読み物ですから、どんどん読み進んでいきました。江戸から明治への時代の転換期にあって、福井藩の下級武士だった父親が商人となって横浜で生糸の商売をする。それも外国人相手。英語を覚える余裕はないので、見よう見まねの会話。どうしてもというときは中国人の通訳を呼んできたのだと。そんな環境で育った覚三(天心)は、店の片隅で外国人客とのやりとりを聞いて英語を学んだのだと。大きくなると、アメリカ人宣教師の英語塾で磨きをかけ、後に東京開成学校(後の東京大学)に進み、フェノロサと出会うことになるわけです。
 長い間鎖国を決め込んだ日本が、大きく扉を開いた時代。日本の若者はアメリカ人宣教師から英語を学んだという意味で、近代化に果たしたアメリカ人の存在の大きさを思いました。実は朝、東京に向かう車中では「ローマ人の物語」40巻「キリストの勝利」を読み終えたばかりでした。ローマの多神教に入り込んだ一神教のキリスト教。なんともややこしい時代でしたが、宗教の善し悪しは別にしても、日本の近代化に宣教師の果たした役割は大きかったということです。
 先週は日曜日の町内「餅つき大会」に始まって、いろいろな楽しいことがありました。ジョルテを開くと、今週も会議、忘年会、広島出張と続きます。そうこうするうちに2014年という年も幕を閉じることになります。そうそう、きょうは総選挙でした。3軒隣の候補者の方、当選できたらよいのですが。

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