心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

自然との共生

2005-08-28 10:50:55 | 旅行

 爽やかな気候が欧州の夏を思わせる北海道を、ここ数年、家内と二人で毎年のように訪れています。今年は先週、世界自然遺産に登録されたばかりの知床半島を旅してきました。最低気温15度、オホーツクの微風が頬を撫でる、そんな清清しい空気を思う存分に楽しんできました。
 夏休みの季節ですから、おそらくふだんよりもずいぶん多くの人出だったんだろうと思いますが、あまりにも広大な自然風景の中に「人」が埋没している感もありました。ときおり、キタキツネ、エゾシカ、シマリスなどが私たちを歓迎してくれたものです。しかし、地元の方々に言わせれば、動物たちを動物園のそれと間違える観光客の存在が、逆に自然破壊に繋がる可能性を秘めているとも。人と自然との調和の在り方を考えさせられた旅でもありました。
 2日目には、海から知床半島を眺めようと、ウトロ港から出航している観光船に乗りました。出航すると、ウミネコ、カモメたちが船の周囲に群がってきます。鳥たちが船と同じ速さで飛んでいるので、私たちから見ると、頭上に静止しているように錯覚します。それほどに人に慣れた鳥たちの姿に感動もしたけれども、みゃあ、みゃあと鳴きながら餌を欲しがる鳥たちの仕草に、ちょっぴり悲しさも感じました。地元では、世界遺産登録に併せて、鳥の餌の販売をやめたり、人を守る砂防ダムの建設をやめ現在あるダムも徐々に無くしていこうという、自然への回帰の努力が試みられようとしていました。
 知床峠から北方領土を眺めることもできます。国の境界という厳しい現実を思わせます。にもかかわらず、夏の知床は、流氷で覆われる冬と違って、人に優しい顔をしていました。自然の共生というテーマをいただいた旅でありました。

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