このところお天気が揺れ動いています。全国的な寒波に見舞われたあと3月に入って急に春めいたり、そうかと思えば再び寒くなったり。あっちに行ったりこっちに行ったりしながら、それでも『春』は確実に近づいています。私の生き様のようです。
最近朝のお散歩は控えていますが、先日久しぶりに自転車に乗って近くのお不動さんにお参りしました。その際、撫でると除病の功徳があると言われる、本堂横の賓頭盧さん(びんずるさん)に、右足快癒のお願いをしてきました。ここ数日、歩くのがだいぶ楽になりましたが、これって足腰の軽い体操を続けているためか、それとも賓頭盧さんのおかげか?誰にも分かりません(笑)。 そんなある日、レモンとスダチの木を剪定しました。切り過ぎるとせっかくの花芽を失うことになります。YouTubeを見ながらの素人庭師です。3年前に一心寺の境内で拾った種から育てている2メートルほどのジャカランダの花木も枝先を剪定しました。剪定することで枝数を増やして樹形を整えます。ホームセンターで肥料を買ってきて、芽出しのための施肥も済ませました。
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寒さが続いたためか、ここ関西では今年、梅の開花がずいぶん遅れました。我が家で最初に梅の花を楽しんだのは、横浜の孫娘かも知れません。お嫁さんが毎日のように写真をアップしてくれているAmazonフォトを見ると、先月半ばには近所の公園で梅の香りを楽しんでいる姿が写っていました。一方の関西は、ここに来てやっと花開きました。
そんな季節の変わり目に、京都にお住まいの知人宅におじゃましました。何年か振りにお会いして話は尽きません。ご主人共々楽しい時間を過ごしました。午後になって雨が止んだので、帰途、近くの北野天満宮に寄りました。境内は梅の花が開き始めてなんとも香しいことでした。梅の御朱印をいただいて帰りました。
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな
(東から春風が吹いてきたならば、梅の花よ、その香りを送って寄こしておくれ。主人の私が居ないからといって春を忘れないでおくれ)
ついでに、隣接する東向観音寺にも立ち寄りました。お能「土蜘蛛」に関わる史跡があるからです。掲げられた謡曲史跡保存会の案内板によれば、土蜘蛛が棲んでいたという蜘灯籠を後年移設のために掘り返して見つけた火袋(火を灯すところ)を、ある人が貰い受けて庭に飾っていたところ家運が傾いたので、土蜘蛛の祟りではないかと恐れて奉納したのだとか。それにしても、源頼光に取りついた土蜘蛛の精霊が、千筋の糸を次々と投げかけるお能の舞台は圧巻です。
そして昨日は、和泉式部が手植えしたと伝わる「軒端の梅」(三代目)を見に、京都は東山の「東北院」へ仲間たちとお弁当をもって出かけました。ご住職から藤原道長と和泉式部など東北院の縁起について詳しく伺いながら、恋多き人生を送り情熱的な恋歌を数多く残した和泉式部の恋心に思いを馳せました。
和泉式部の御朱印をいただいて帰る頃、軒端の梅に二羽のメジロがやってきて、花から花へと仲良く飛び交っているのが印象的でした。ちなみにこの日は午後、謡曲同好会で東北院が舞台となった世阿弥の謡曲「東北」の後半部分を練習しました。
むめの香を 君によそへて みるからに 花のをりしる 身ともなるかな
(梅の香をあなたの袖の香になぞらえて梅を見るばかりに、花の咲く時節を知る身となりました)
以上の次第で、梅の花と戯れた1週間が過ぎていきました。この時季、旧暦では啓蟄「桃始笑」と言い、いよいよ『春』の到来です。気温の高まりとともに、我が家のささやかな花壇や菜園での野良仕事が始まります。