7月は17冊でした。
まずは、2020年本屋大賞 大賞受賞作です。
◆流浪の月(凪良 ゆう)
世間の常識、秩序からはみだしてしまった惹かれあう二人。ちゃんと自己主張ができない、愚かといってしまえばそれまでだけど、それよりも、他人に対する非寛容さ、ネット社会の功罪、なんだか嫌な世の中になっちゃたなという想いが強い。
多様性が認めてもらえないのは世間も身内も一緒。真実なんて当事者しか分からないのに。ラストにはほっとさせられました。読みやすかったけど重い話、さすが受賞作。
そして同じく本屋大賞の3位作品。
◆線は、僕を描く(砥上 裕將)
不慮の事故で両親を失い、無気力に人生を見失っていた青山くんが、なぜかひょんなんことで水墨画の大家・篠山湖山大先生に見いだされ、水墨画を通じて自分を発見する物語。
水墨画についての知識がなかったため、春蘭の書き方とかをググりながら読んだ。静かで感動的な作品ではあるものの、いささかやりすぎ感も感じなくもない。
そして8位、まだ上巻だけだけど。
■ムゲンのi(上)(知念 実希人)
知念さんらしくないファンタジー仕立て、とみせかけて下巻で思いっきりどんでん返しをくらわされるのでしょうか。愛衣さんの存在自体、なんか怪しい感じ、しますよね。下巻に期待。
ベテラン作家さんのミステリを単行本で3冊。
◆いけない(道尾 秀介)
第一章「弓投げの崖を見てはいけない」、むっ、誰が車にはねられたのか書かれていない。読者に考えろと言うことか?
第二章はなるほど、これは彼なりの恩返し?第三章は水元の死で犯人の想像がつくのだが、なるほどこいつが全部の黒幕なのか。
最終章は短い謎解き章かと思いきや、最後の写真は白紙の便せんでちょっとほろりとさせられた。新感覚、新形式のミステリーと言っていいのかな。
◆我らが少女A(髙村 薫)
上田朱美が殺されたことをきっかけに、迷宮入りした12年前の彼女の恩師の美術教師の殺人事件が動き出す。上田の母や友人たちの封印された記憶を少しずつ手繰りながら事件の真相に迫る、派手な謎解きもない、異色のミステリーと言ってよいのではないでしょうか。
舞台になった野川公園やハケの道周辺は昔のジョギングコースだったので土地勘あり、忍くんと一緒にドローンになった気分で徘徊を楽しめました。
◆Iの悲劇(米澤 穂信)
都会に住んでいる分には気づかない、人口減少社会の日本の現実、消滅集落の実態とコンパクトシティ構想を下敷きにした米澤穂信さんのミステリー、といっていいのかどうか、黒幕はすぐに見当がついてしまうのだが。
行政はセンチメンタルではいられない、合併した市の政治の現実を描いた、いささか風刺が効いた作品。
「新潮文庫の100冊」「カドフェス」「ナツイチ」から7冊。
◆ロウソクの科学(ファラデー)(角川文庫)
1861年にロンドンで行われた講演とということは明治維新前!当時の先進国のアカデミーのすごさ、ですよね。話も分かりやすくて、なるほど、そうだったのかと思うこともいくつか。でも、もう少し図を増やしていただけるともっと分かりやすかったと思う。
◆ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人(中山 七里) (角川文庫)
刑事犬養隼人シリーズ初読みでした。初読みのくせに分かったようなことを言ってしまえば、「安楽死」というとてつもなく重いテーマを、ステレオタイプに分かりやすく、エンタメ色多めに書けてしまうのが中山七里さんなのかな、と感じました。最新作「カインの傲慢」が出たところ、今度は臓器売買みたいですね。
■パラ・スター 〈Side 百花〉(阿部 暁子) (集英社文庫)
阿部さんは、昨年のナツイチ本「どこよりも遠いところにいる君へ」がすごく面白かったので期待して手に取ったのだが、今年のは、まあ普通でしょうか。宝良やみちるの負けん気の強い前向きさは好き。続編もいってみます。
◆カレーライス 教室で出会った重松清(重松 清) (新潮文庫)
そうか。今どきの教科書は重松清がたくさん掲載されているのか。おじさんは知らなかった。。。
◆ケーキ王子の名推理5 (七月 隆文)(新潮文庫)
なぜこれが「新潮文庫の100冊」なのか、毎年不思議に思う。
◆鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(川上 和人) (新潮文庫)
昨年に続き「100冊」入りした川上和人さんの著作、おやじギャグの冴えは前作以上。タイトルからしておふざけ、鳥類学と一般的にいうなじみのない分野のどうでもよさそうなうんちくがわかりやすく語られている。でもその中にも、しっかりと、地道なフィールドワークの実態や、鳥類や生態系を研究することの意義や語られていて好感が持てました。
◆最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (二宮 敦人)(新潮文庫)
いろんな専攻があって、いろんな方がいるもんだ。そしてさすが国立大学、少ない学生と教授の比率、多様な器械設備、それでいて、「好きなことをやる」が先に立ち、社会貢献とか、日本のためとか、教授にも、学生にも、そういう気負いは感じられない。ま、日本が文化国家であるためには必要な無駄、なんでしょう。
毎年恒例の東京バンドワゴン・シリーズの新作。
◆イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン(小路 幸也)
研人くんが結婚!とか、すずみちゃん、鈴花ちゃん、大きくなったなとか、堀田家の方々が遠い親戚のように感じるようになりました。今年の一番のトピックは、藤島さんの結婚か。
◆八本目の槍(今村 翔吾)
昨年の吉川英治文学新人賞受賞作。賤ケ岳の七本槍と呼ばれた武将たちが語る石田三成の短編連作、久々に面白い歴史小説を読んだって感じ。歴史的に名前を残した加藤清正、福島正則、加藤嘉明、片桐且元の4人とほとんど無名に終わった3人の絆や佐吉に対する想い、加藤嘉明が徳川方にスパイとか、今村さんらしい大胆さも織り交ぜながら、全体としてはハーモニーのとれた、残念なスーパースター・石田三成を称える小説。
◆掟上今日子の設計図(西尾 維新)
忘却探偵シリーズ最新作はライトミステリー、ワトソン役もお馴染み隠立厄介くん。早やシリーズ12作目で、次作、次々回作の予告まで!最速の探偵ならぬ最速の作家に拍手。
◆東京「街角」地質学(西本 昌司)
タイトルは「地質学」ですが、ほぼ全編、建築物に使われている石材の話。外装材としての花崗岩など、内装材としての大理石が、マニアックにも国内外の産地別に紹介されている。もう少しブラタモリっぽいものを想像していたのだが、思っていた内容とちょっと違った。
まずは、2020年本屋大賞 大賞受賞作です。
◆流浪の月(凪良 ゆう)
世間の常識、秩序からはみだしてしまった惹かれあう二人。ちゃんと自己主張ができない、愚かといってしまえばそれまでだけど、それよりも、他人に対する非寛容さ、ネット社会の功罪、なんだか嫌な世の中になっちゃたなという想いが強い。
多様性が認めてもらえないのは世間も身内も一緒。真実なんて当事者しか分からないのに。ラストにはほっとさせられました。読みやすかったけど重い話、さすが受賞作。
そして同じく本屋大賞の3位作品。
◆線は、僕を描く(砥上 裕將)
不慮の事故で両親を失い、無気力に人生を見失っていた青山くんが、なぜかひょんなんことで水墨画の大家・篠山湖山大先生に見いだされ、水墨画を通じて自分を発見する物語。
水墨画についての知識がなかったため、春蘭の書き方とかをググりながら読んだ。静かで感動的な作品ではあるものの、いささかやりすぎ感も感じなくもない。
そして8位、まだ上巻だけだけど。
■ムゲンのi(上)(知念 実希人)
知念さんらしくないファンタジー仕立て、とみせかけて下巻で思いっきりどんでん返しをくらわされるのでしょうか。愛衣さんの存在自体、なんか怪しい感じ、しますよね。下巻に期待。
ベテラン作家さんのミステリを単行本で3冊。
◆いけない(道尾 秀介)
第一章「弓投げの崖を見てはいけない」、むっ、誰が車にはねられたのか書かれていない。読者に考えろと言うことか?
第二章はなるほど、これは彼なりの恩返し?第三章は水元の死で犯人の想像がつくのだが、なるほどこいつが全部の黒幕なのか。
最終章は短い謎解き章かと思いきや、最後の写真は白紙の便せんでちょっとほろりとさせられた。新感覚、新形式のミステリーと言っていいのかな。
◆我らが少女A(髙村 薫)
上田朱美が殺されたことをきっかけに、迷宮入りした12年前の彼女の恩師の美術教師の殺人事件が動き出す。上田の母や友人たちの封印された記憶を少しずつ手繰りながら事件の真相に迫る、派手な謎解きもない、異色のミステリーと言ってよいのではないでしょうか。
舞台になった野川公園やハケの道周辺は昔のジョギングコースだったので土地勘あり、忍くんと一緒にドローンになった気分で徘徊を楽しめました。
◆Iの悲劇(米澤 穂信)
都会に住んでいる分には気づかない、人口減少社会の日本の現実、消滅集落の実態とコンパクトシティ構想を下敷きにした米澤穂信さんのミステリー、といっていいのかどうか、黒幕はすぐに見当がついてしまうのだが。
行政はセンチメンタルではいられない、合併した市の政治の現実を描いた、いささか風刺が効いた作品。
「新潮文庫の100冊」「カドフェス」「ナツイチ」から7冊。
◆ロウソクの科学(ファラデー)(角川文庫)
1861年にロンドンで行われた講演とということは明治維新前!当時の先進国のアカデミーのすごさ、ですよね。話も分かりやすくて、なるほど、そうだったのかと思うこともいくつか。でも、もう少し図を増やしていただけるともっと分かりやすかったと思う。
◆ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人(中山 七里) (角川文庫)
刑事犬養隼人シリーズ初読みでした。初読みのくせに分かったようなことを言ってしまえば、「安楽死」というとてつもなく重いテーマを、ステレオタイプに分かりやすく、エンタメ色多めに書けてしまうのが中山七里さんなのかな、と感じました。最新作「カインの傲慢」が出たところ、今度は臓器売買みたいですね。
■パラ・スター 〈Side 百花〉(阿部 暁子) (集英社文庫)
阿部さんは、昨年のナツイチ本「どこよりも遠いところにいる君へ」がすごく面白かったので期待して手に取ったのだが、今年のは、まあ普通でしょうか。宝良やみちるの負けん気の強い前向きさは好き。続編もいってみます。
◆カレーライス 教室で出会った重松清(重松 清) (新潮文庫)
そうか。今どきの教科書は重松清がたくさん掲載されているのか。おじさんは知らなかった。。。
◆ケーキ王子の名推理5 (七月 隆文)(新潮文庫)
なぜこれが「新潮文庫の100冊」なのか、毎年不思議に思う。
◆鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(川上 和人) (新潮文庫)
昨年に続き「100冊」入りした川上和人さんの著作、おやじギャグの冴えは前作以上。タイトルからしておふざけ、鳥類学と一般的にいうなじみのない分野のどうでもよさそうなうんちくがわかりやすく語られている。でもその中にも、しっかりと、地道なフィールドワークの実態や、鳥類や生態系を研究することの意義や語られていて好感が持てました。
◆最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (二宮 敦人)(新潮文庫)
いろんな専攻があって、いろんな方がいるもんだ。そしてさすが国立大学、少ない学生と教授の比率、多様な器械設備、それでいて、「好きなことをやる」が先に立ち、社会貢献とか、日本のためとか、教授にも、学生にも、そういう気負いは感じられない。ま、日本が文化国家であるためには必要な無駄、なんでしょう。
毎年恒例の東京バンドワゴン・シリーズの新作。
◆イエロー・サブマリン 東京バンドワゴン(小路 幸也)
研人くんが結婚!とか、すずみちゃん、鈴花ちゃん、大きくなったなとか、堀田家の方々が遠い親戚のように感じるようになりました。今年の一番のトピックは、藤島さんの結婚か。
◆八本目の槍(今村 翔吾)
昨年の吉川英治文学新人賞受賞作。賤ケ岳の七本槍と呼ばれた武将たちが語る石田三成の短編連作、久々に面白い歴史小説を読んだって感じ。歴史的に名前を残した加藤清正、福島正則、加藤嘉明、片桐且元の4人とほとんど無名に終わった3人の絆や佐吉に対する想い、加藤嘉明が徳川方にスパイとか、今村さんらしい大胆さも織り交ぜながら、全体としてはハーモニーのとれた、残念なスーパースター・石田三成を称える小説。
◆掟上今日子の設計図(西尾 維新)
忘却探偵シリーズ最新作はライトミステリー、ワトソン役もお馴染み隠立厄介くん。早やシリーズ12作目で、次作、次々回作の予告まで!最速の探偵ならぬ最速の作家に拍手。
◆東京「街角」地質学(西本 昌司)
タイトルは「地質学」ですが、ほぼ全編、建築物に使われている石材の話。外装材としての花崗岩など、内装材としての大理石が、マニアックにも国内外の産地別に紹介されている。もう少しブラタモリっぽいものを想像していたのだが、思っていた内容とちょっと違った。
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