ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

19年8月に読んだ本

2019-09-04 20:35:42 | 読書
8月は16冊読みました。
完読挑戦中の「新潮文庫の100冊」を4冊。
◆遠野物語 (柳田国男)
遠野は取引先の工場があって何度も仕事で訪れたが、今ですら遠いところまで来たなーと思える、そんな地に伝わる、河童、座敷童、山男、山女、狐、狼、猿、鹿、オシラサマ、どこか縄文の匂いすらする伝承というか、怪異譚を集めた本。日本は広い。三島由紀夫の解説が良い。

◆噂 (荻原浩)
荻原浩さんがミステリーなんて意外。直木賞を取った短編集といい、ユーモア小説と言い、多彩。
女子高生を絞殺し足首を切り取るという猟奇的なシリアルキラー・レインマンを、小暮、名月の凸凹コンビが追う。スマホがまだ一般的ではなかった時代、多少時代は感じるが、ホラー、イヤミス要素もあって夏向きのミステリー、中々に面白かった。

◆絶唱 (湊かなえ)
「楽園」「約束」「太陽」「絶唱」、何もない南の島・トンガで、阪神大震災で心の傷を負った人たちが出会い、係る、心温まる短編連作。ちょっと湊さんらしくないと思ってしまったが、海外青年協力隊を経験されているんですね。納得。

◆鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (川上和人)
子どもの頃からかなりの恐竜好きだったが、なるほど、目からウロコの発見が多々あり。モササウルスやプレシオサウルスは恐竜じゃなかったのか。鳥盤類ではなく竜盤類の恐竜から鳥に進化したのか。いちいち納得の1冊でした。

カドフェスから3冊。
◆蟻の菜園 ‐アントガーデン‐ (柚月裕子)
柚月さんというと「孤狼の血」のこてこての極道もののイメージが強かったのだが、これはかなり趣が違った。幼児虐待、どうしようもない親となすすべのない薄幸の姉妹。解離性同一障害を発症、自分をコントロールできない妹、でも生い立ちがどうあれ、犯罪は犯罪、木島香苗死刑囚ばりの連続殺人は許されるはずもない。金の事を夫に打ち明けるなり、いくらでも他にやりようがあったはずで、やはりどこか感覚がおかしい。やりきれない思いにさせられる結末。

◆涼宮ハルヒの憂鬱 (谷川流)
久々かつ何度目かの再読。京アニ追悼と言うことで読んでみたのだが、色あせない面白さ。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

◆小説 天気の子 (新海誠)
小説の方を先に読んだ。ファンタジー色、恋愛色が強めの話なんですね。「君の名は」も小説を先に読んで、うーんと思ったが、映画を見たらよかった。これも映画を見てみないと、評価が難しいかも。

「ナツイチ」が1冊。
◆バッドカンパニー (深町秋生)
漫画みたいでありえない話だったけど、まあ、読みやすいし、これはこれでよろしいのではないでしょうか。

これで、昨年末の「このミス」「ミステリが読みたい」「文春ミステリー」のベスト10に入った本、すべて読了。
◆東京輪舞(月村良衛)
刑事ドラマなどではあまり出てこない、公安警察の刑事と美貌の女スパイを主人公にした、昭和、平成の事件に纏わる短編連作。ロッキード事件、東芝ココム事件、地下鉄サリン事件、警察長長官狙撃、金正男密入国、どの事件も思い出深い。スパイ天国と言われる日本、重大事件に外国の影、事実は小説より奇なり、なのかも。

◆ 渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(大島真寿美)
浄瑠璃作者・近松半二の一生を描いた第161回直木賞受賞作。江戸時代に人形浄瑠璃なる文化があったということは知っていたが、文楽についても、近松半二なる人物も、妹背山婦女庭訓なる演目も知らなかった。蘇我入鹿打倒の王朝ロマンでありながら和製ロミオとジュリエットの悲恋物語であり、かとおもうと猪突にお三輪なる酒屋の娘が登場する、どんな筋立てなのか皆目見当がつかないが、この作品を生み出し、開演するまでがこの作品のクライマックス。渦と称される当時の道頓堀という環境や創作することの不思議な熱量を感じる作品。

今年の本屋大賞ノミネート作品、2冊読んで、これで10冊完読。
◆愛なき世界 (三浦しをん)
愛なき世界って、愛のない繁殖をする植物を愛するあまり、異性を愛せなくなってしまった人?なんかよく理解できない。本屋大賞を取った「舟を編む」の植物学者版みたいな話。普通の人、藤丸くんの目線で見た、研究者たちの変わりっぷりが清々しい。

◆ある男(平野啓一郎)
出自を隠し、他人の戸籍を取得し、妻子とつつましくも幸せな日々を送っていた男が仕事中の事故で死んだ。この一件を調査する弁護士の城戸は在日三世で妻ともしっくりいっていない。このちょっと面倒な弁護士が事実上の主人公、他人に成りすまして違う人生を生きることに強い興味を覚え、妻以外の女性にも心が揺れる。長い調査の末にようやく事の真相にたどり着いた城戸は、短い期間だったが幸せにたどり着けた故人・原誠の人生に安堵する。消したい過去、やり直したい人生、救いのある結末で良かった。

■お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (佐藤航陽)
スマホ決済から仮想通貨あたりの具体的な解説本かなと思ったら全然違った。昨今の企業価値(時価総額)が、プレミアムということばでは説明がつかないくらいB/S・P/Lとかけ離れるようになり、これは何なんだろうと思っていたことが具体的に説明されていて、すっきりした。自分は古い人間なので違和感を感じることも多々あるが、それも飲み込んで、近未来に社会がどのように変化するか、想像し、対処したいと思う。

◆日本国紀(百田尚樹)
「逆説の日本史」を読んでいるのかと思えるほど、井沢元彦さんの歴史観に酷似した日本礼賛の通史で、新鮮味には乏しい。自国の歴史を誇りに思うことは大切だし、中国や韓国はこの本以上に我田引水な教科書で歴史教育を行っているはず。思えば、自分が中学校時代の社会科の先生は国賊ものにひどかった。憲法礼賛、仮想敵国を想定すること自体が憲法違反と教えられた。平和ボケ、外交音痴の我々のリハビリには、この程度はありだと思う。それにしても朝日に代表される日本のジャーナリズムってのは無責任で反省がないな、今も昔も。

◆わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑(丸山貴史)
「生き残るのは、強いものではなく、環境にあわせて変化したものである」を地で行く進化・滅亡論。特殊な環境に適応しすぎると、環境変化についていけなくなる。天敵がおらず、切磋琢磨を忘れると変化に脆い。でも、地球の歴史で最も劇的な環境変化は生態系の頂点に人間が立ったことによってもたらされたものなのだろう。面白い、続も読もう。

◆メモの魔力 The Magic of Memos (前田裕二)
メモの本と言うより、自己啓発本。丸善でメモ用のノートを買ってしまった、影響されやすいワタシ。
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