2月は19冊、うち西原理恵子さんの漫画が3冊。
◆つまをめとらば(青山文平)
文化文政時代、元禄が終わり、永い太平に武家の役割は形骸化し、貨幣経済の浸透に町人が台頭し、下級武士は貧窮する。そんな時代の武士の生きざまは少し滑稽ながらも潔く、それをとりまく女たちはしたたかで逞しい。
「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」珠玉の短編が6篇、ひっそりと静かな、抑制の効いた、でもさすがと思える直木賞受賞作。
「ひとをうらやむ」「つゆかせぎ」の女性のあっけらかんとした強さ、「逢対」の武家社会の閉塞感と下級武士の清貧さが気に入りました。
◆殺人出産(村田沙耶香)
「殺人出産」「トリプル」「清潔な結婚」「余命」の中短編が5作。
価値観とか、正義とか、倫理とか、狂気とか、そういったものもあくまで相対的なもので、絶対的、普遍的に正しいものなんてないのよ、ってことなのでしょう。それを言いたくてここまでグロい社会を描いたのでしょうが、気持ち悪い読後感でした。
◆世界の果てのこどもたち(中脇初枝)
中国残留孤児になってしまった珠子、在日朝鮮人となった美子、戦災孤児となった茉莉。あの時満州国で出会い、短い友情を育み、そしてあの戦争で別れ、運命に翻弄された3人の少女の人生が、時空を終えて交錯する。
ちょっとセンチメンタルに流れすぎのような気もしますが、スケールの大きなお話です。
残留孤児というと「大地の子」が頭に浮かんでしまうが、珠子は良い中国人に貰ってもらえて、本当に幸運でした。
あの戦争の後も、中国は国共内戦に文革、朝鮮半島は南北分裂と朝鮮戦争、日本も幸運でした。
女性はたくましいですね。
◆聖女の救済 (東野圭吾)
探偵ガリレオ・シリーズの長編は「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」に続いて3作目。
虚数解を解く湯川准教授は相変わらずすごいけど、今回は、草壁刑事も愛ゆえの?執念を見せました。
なるほど「聖女の救済」ってそういうことか。
「容疑者Xの献身」同様、最初に犯人が分かっている倒叙ミステリー。かなり面白くて一気読みにはなりましたが、やはり「献身」の男の純情の方がすごかったかな。
◆掟上今日子の備忘録(西尾維新)
物語シリーズの続編として書かれた忘却探偵シリーズ第一作。どこが続編?と思ったのですが、掟上今日子=羽川翼説もあるようです。
本編はほぼドラマ通りの内容でした。続編の推薦文、退職届、遺言書を先に読んじゃったのですが、やはりこの備忘録が一番面白いかな。
◆掟上今日子の挑戦状(西尾維新)
忘却探偵シリーズ、これで全5作読了です。中編が3つ、うち2つはドラマでやってたやつですね。個人的には、「備忘録」の次くらいに楽しめました。
◆空飛ぶ広報室(有川浩)
有川さんの小説は基本的に全部読むことにしています。これで27冊目。なかなか文庫本にならないので、待ちきれなくて読んじゃいました。
ストーリーは新垣結衣、綾野剛主演のドラマを見ていたので知っていたのですが、改めて感動!
東日本大震災が入っているからかな、有川さんにしては甘さは控えめ、でも、その分余計に切なくて、「どっちでもいいから、早く好きって言っちゃえよ」と思いました。
◆残穢(小野不由美) (新潮文庫)
山本周五郎賞受賞作。
小説かと思ったらドキュメンタリー仕立て。
死穢が伝染病のように無差別にうつる。怖い、たいして怖くない、両論あるみたいですが、私には十分怖かったです。無差別に祟るって、20年くらい前に話題になった「リング」を思い出しました。
◆もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら(岩崎夏海)
「もしドラ」の続編、後日譚、文乃さんは先生になったんですね。脳内で、AKB48の峯岸みなみに変換しながら読みました。
マネージャーが組織マネジメントを学ぶためにクラブがある、なるほどねー、
私の母校の大学のバレー部も、優秀な女子マネがいるので、そんな感じかな。でも、前作よりも現実味は薄かったかも。
◆さよならの手口 (若竹七海)(文春文庫)
「このミス」「文春」「ハヤカワ」いずれにもベスト10に入っていたので読んでみました。若竹七海さん初読みです。
とにかく伏線が盛りだくさんで、面白いミステリでした。
探偵役の葉村晶さんのキャラも、精力的でちょっと危なっかしくて魅力的。
◆億男(川村元気)
「人生に必要なもの、それは勇気と想像力と、本の少しのお金さ」、何とはなしに、20年ほど前に受講した自己啓発セミナーを思い出しました。
寓話として読めば良いのかな。
◆ばけもの好む中将―平安不思議めぐり(瀬川貴次) (集英社文庫)
「虫愛づる姫君」というお話が古文であったけど、その化物版?なんて思っていたら、全然違った。
平安時代の貴族社会を舞台にしたライトミステリー、ライトノベル。
個人的には「GS美神・極楽大作戦」(古い?)みたいな話を期待していたのだけど。
◆ピエタ (大島真寿美)
18世紀中葉、文化の爛熟したヴェネツィアが舞台、ヴィヴァルディが指導した慈善音楽院、ピエタの女性たちのお話。
秘密の恋、友情、そして時代は容赦なく流れていく。
やがてヨーロッパはフランス革命など激動の時代を迎える、その前夜の美しく、静かな物語。
◆オルゴーリェンヌ (北山猛邦)
「このミス」をはじめ各ミステリ賞にランクインしていたので読んでみました。
本が禁止された、水没した世界というファンタジーっぽい世界観の孤島の洋館で起こる連続殺人、しかも人体オルゴールなんてちょっと猟奇的、なんて盛りだくさんな設定の小説なんだろう。
謎解き、トリックも多彩で、いかにもって感じのミステリでした。
◆ウィメンズマラソン(坂井希久子)
実業団に入部してマラソン選手になるあたりは、小出監督と有森裕子さんの、出来婚で引退・復帰するあたりは、バレーボール・ロンドンオリンピック銅メダリストの大友愛さんのイメージが被りました。
トップアスリートとして有名になるということは大変なこと、それにしても、ヒロインの岸峰子さん、選手としての気持ちは強いけど、性格悪いですね。私も辻本皐月を応援してました。
◆人狼作家
推理作家の皆さんが集って人狼ゲームをやる。
私は初人狼ゲーム初体験。うう、ややこしかった。多分、推理作家の皆さんのロールプレイの推理、議論の6割くらいしか理解できていないと思う。
実際、人狼の予想も思いっきり外したし。
で、西原さんの漫画ですが、
◆パーマネント野ばら
薄幸の、というには何ともすさまじい、泣きながらも明るく生きる女性たちの物語。
漫画というのがもったいない、西原さんらしい良作。
◆できるかなリターンズ
長門有希の100冊に入っていたこの本を手に取ってみた。
相変わらず捨て身に面白かったけど、これがなぜ長門有希の100冊なのかは不明。
◆いけちゃんとぼく
なんとなく、西原さんをもう一作くらい読みたくなって、「絶対に泣ける本」だって言うし。西原さんらしからぬ、毒のない、ノスタルジックなお話。
少年の心の友、その正体は、って、レイ・ブラッドベリ?の短編にもこんな話があったような。泣きなしませんでしたけど、少し笑えて、じんと来ました。
◆つまをめとらば(青山文平)
文化文政時代、元禄が終わり、永い太平に武家の役割は形骸化し、貨幣経済の浸透に町人が台頭し、下級武士は貧窮する。そんな時代の武士の生きざまは少し滑稽ながらも潔く、それをとりまく女たちはしたたかで逞しい。
「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」珠玉の短編が6篇、ひっそりと静かな、抑制の効いた、でもさすがと思える直木賞受賞作。
「ひとをうらやむ」「つゆかせぎ」の女性のあっけらかんとした強さ、「逢対」の武家社会の閉塞感と下級武士の清貧さが気に入りました。
◆殺人出産(村田沙耶香)
「殺人出産」「トリプル」「清潔な結婚」「余命」の中短編が5作。
価値観とか、正義とか、倫理とか、狂気とか、そういったものもあくまで相対的なもので、絶対的、普遍的に正しいものなんてないのよ、ってことなのでしょう。それを言いたくてここまでグロい社会を描いたのでしょうが、気持ち悪い読後感でした。
◆世界の果てのこどもたち(中脇初枝)
中国残留孤児になってしまった珠子、在日朝鮮人となった美子、戦災孤児となった茉莉。あの時満州国で出会い、短い友情を育み、そしてあの戦争で別れ、運命に翻弄された3人の少女の人生が、時空を終えて交錯する。
ちょっとセンチメンタルに流れすぎのような気もしますが、スケールの大きなお話です。
残留孤児というと「大地の子」が頭に浮かんでしまうが、珠子は良い中国人に貰ってもらえて、本当に幸運でした。
あの戦争の後も、中国は国共内戦に文革、朝鮮半島は南北分裂と朝鮮戦争、日本も幸運でした。
女性はたくましいですね。
◆聖女の救済 (東野圭吾)
探偵ガリレオ・シリーズの長編は「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」に続いて3作目。
虚数解を解く湯川准教授は相変わらずすごいけど、今回は、草壁刑事も愛ゆえの?執念を見せました。
なるほど「聖女の救済」ってそういうことか。
「容疑者Xの献身」同様、最初に犯人が分かっている倒叙ミステリー。かなり面白くて一気読みにはなりましたが、やはり「献身」の男の純情の方がすごかったかな。
◆掟上今日子の備忘録(西尾維新)
物語シリーズの続編として書かれた忘却探偵シリーズ第一作。どこが続編?と思ったのですが、掟上今日子=羽川翼説もあるようです。
本編はほぼドラマ通りの内容でした。続編の推薦文、退職届、遺言書を先に読んじゃったのですが、やはりこの備忘録が一番面白いかな。
◆掟上今日子の挑戦状(西尾維新)
忘却探偵シリーズ、これで全5作読了です。中編が3つ、うち2つはドラマでやってたやつですね。個人的には、「備忘録」の次くらいに楽しめました。
◆空飛ぶ広報室(有川浩)
有川さんの小説は基本的に全部読むことにしています。これで27冊目。なかなか文庫本にならないので、待ちきれなくて読んじゃいました。
ストーリーは新垣結衣、綾野剛主演のドラマを見ていたので知っていたのですが、改めて感動!
東日本大震災が入っているからかな、有川さんにしては甘さは控えめ、でも、その分余計に切なくて、「どっちでもいいから、早く好きって言っちゃえよ」と思いました。
◆残穢(小野不由美) (新潮文庫)
山本周五郎賞受賞作。
小説かと思ったらドキュメンタリー仕立て。
死穢が伝染病のように無差別にうつる。怖い、たいして怖くない、両論あるみたいですが、私には十分怖かったです。無差別に祟るって、20年くらい前に話題になった「リング」を思い出しました。
◆もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら(岩崎夏海)
「もしドラ」の続編、後日譚、文乃さんは先生になったんですね。脳内で、AKB48の峯岸みなみに変換しながら読みました。
マネージャーが組織マネジメントを学ぶためにクラブがある、なるほどねー、
私の母校の大学のバレー部も、優秀な女子マネがいるので、そんな感じかな。でも、前作よりも現実味は薄かったかも。
◆さよならの手口 (若竹七海)(文春文庫)
「このミス」「文春」「ハヤカワ」いずれにもベスト10に入っていたので読んでみました。若竹七海さん初読みです。
とにかく伏線が盛りだくさんで、面白いミステリでした。
探偵役の葉村晶さんのキャラも、精力的でちょっと危なっかしくて魅力的。
◆億男(川村元気)
「人生に必要なもの、それは勇気と想像力と、本の少しのお金さ」、何とはなしに、20年ほど前に受講した自己啓発セミナーを思い出しました。
寓話として読めば良いのかな。
◆ばけもの好む中将―平安不思議めぐり(瀬川貴次) (集英社文庫)
「虫愛づる姫君」というお話が古文であったけど、その化物版?なんて思っていたら、全然違った。
平安時代の貴族社会を舞台にしたライトミステリー、ライトノベル。
個人的には「GS美神・極楽大作戦」(古い?)みたいな話を期待していたのだけど。
◆ピエタ (大島真寿美)
18世紀中葉、文化の爛熟したヴェネツィアが舞台、ヴィヴァルディが指導した慈善音楽院、ピエタの女性たちのお話。
秘密の恋、友情、そして時代は容赦なく流れていく。
やがてヨーロッパはフランス革命など激動の時代を迎える、その前夜の美しく、静かな物語。
◆オルゴーリェンヌ (北山猛邦)
「このミス」をはじめ各ミステリ賞にランクインしていたので読んでみました。
本が禁止された、水没した世界というファンタジーっぽい世界観の孤島の洋館で起こる連続殺人、しかも人体オルゴールなんてちょっと猟奇的、なんて盛りだくさんな設定の小説なんだろう。
謎解き、トリックも多彩で、いかにもって感じのミステリでした。
◆ウィメンズマラソン(坂井希久子)
実業団に入部してマラソン選手になるあたりは、小出監督と有森裕子さんの、出来婚で引退・復帰するあたりは、バレーボール・ロンドンオリンピック銅メダリストの大友愛さんのイメージが被りました。
トップアスリートとして有名になるということは大変なこと、それにしても、ヒロインの岸峰子さん、選手としての気持ちは強いけど、性格悪いですね。私も辻本皐月を応援してました。
◆人狼作家
推理作家の皆さんが集って人狼ゲームをやる。
私は初人狼ゲーム初体験。うう、ややこしかった。多分、推理作家の皆さんのロールプレイの推理、議論の6割くらいしか理解できていないと思う。
実際、人狼の予想も思いっきり外したし。
で、西原さんの漫画ですが、
◆パーマネント野ばら
薄幸の、というには何ともすさまじい、泣きながらも明るく生きる女性たちの物語。
漫画というのがもったいない、西原さんらしい良作。
◆できるかなリターンズ
長門有希の100冊に入っていたこの本を手に取ってみた。
相変わらず捨て身に面白かったけど、これがなぜ長門有希の100冊なのかは不明。
◆いけちゃんとぼく
なんとなく、西原さんをもう一作くらい読みたくなって、「絶対に泣ける本」だって言うし。西原さんらしからぬ、毒のない、ノスタルジックなお話。
少年の心の友、その正体は、って、レイ・ブラッドベリ?の短編にもこんな話があったような。泣きなしませんでしたけど、少し笑えて、じんと来ました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます