3月は後半に花見系の飲み会が多くてペースダウン、結局16冊でした。
◆<子ども>のための哲学 講談社現代新書(永井均)
もう既にブログに読書感想文をUPさせていただきましたが、今この本を読んで初めて、「ああ、哲学ってそういうことなのね」と少し分かった気になりました。
子どものために哲学を分かりやすく説明した本かと思ったらそうでもなくって、大人の哲学に対する<子ども>の哲学書なのですね。
そういえば自分も子どもらしからぬこまっしゃくれたことに悩む子供でした。目からうろこの一冊です。
◆風に立つライオン (さだまさし)(幻冬舎文庫)
これも映画を見た話をブログにアップしましたが、この歌には本当に元気づけられてきました。
あの歌を元にした小説、文庫本化されるのを楽しみにしてました。
石巻にもボランティアで3回行きました。あの時は、自分がこの国のために何ができるのか、本当に考えました。
もう、この本、涙腺緩みっぱなしでした。
◆サウスバウンド 上・下 (奥田英朗)
子供の世界ってのは、まあ、こんなもんなんだろうけど、上原父が滅茶苦茶ですね。
上巻は中野編、下巻は西表島編、上巻のテーマが友情なら、下巻は家族、でしょうか。
主人公のタイプは違えど、直木賞受賞作の「空中ブランコ」のような、破天荒な男を描いた痛快なエンターテインメント小説、伊良部医師と上原一郎がダブりました。
それにくらべて、自然保護団体の主張の何とも薄っぺらなこと。
私も沖縄や石垣島は大好きなのですが、まだ西表島は行ったことないなー。あの何とも言えないゆるさ、適当さが良いです。理屈抜きで楽しく読めました。
◆64(ロクヨン) 下(横山秀夫) (文春文庫)
D県警の汚辱ともいえる時効直前の誘拐殺人事件64(ロクヨン)をめぐる警務部と刑事部の対立、そんな中で模倣事件が起きる。
すごかった。夜更かしして一気読みしてしまいました。
警察の存在目的は市民の生命、財産、安を守ること、でも組織が肥大化すれば、組織は自らの維持、拡大を優先し、そのための隠ぺいや抗争が起きる。
それを打開するのは現場の人、一人一人の意識、使命感、行動。
緻密なミステリーと組織の中の人の在り方、仕事への使命感みたいなもの両立させて描いた佳作と思います。
このミス大賞、本屋大賞2位は伊達じゃない。
◆東京島 (桐野夏生)(新潮文庫)
木村多江さん主演で映画化された作品なので、脳内変換して読み始めたのですが、読み進むにつれて、清子はどうも彼女ではないなと。
奇想天外であり得ない設定なのと、ここまで人は助け合わないものなのかなと思い、読後感は良くなかったです。
◆月と蟹(道尾秀介) (文春文庫)
慎一と晴也の少年二人に、少女鳴海を加えたバランスの悪い小学生3人は、母子家庭、父子家庭、親同士の恋愛、DV、夫々家族に心の傷を持つ。
そんな中、彼らが夢中になった不気味で残酷なヤドカミ様の儀式。相手の嘘を何でも見透かしてしまう気味の悪さ。
その割には、慎一の行為自体は何とも幼くて脆い。
道尾さん、これで直木賞を取ったんですよね。なんとも後味の悪い小説でした。
◆のぼうの城 上・下(和田竜) (小学館文庫)
和田竜さんの歴史小説は、「忍びの国」に続いて2冊目。成田長親なんて人、知らなかったです。忍城も、古代史オタクなのでさきたま古墳群は見に行ったのですが、そばにそんなものがあるの知らなかったです。
何ともマイナーな史実を、また風変わりな男を主人公にしたもので、他の作家さんの歴史小説にはない味を出しています。
戦国時代に数限りなくあった攻城戦の一つ、なのでしょうけど、秀吉の天下統一事業にとってはなんの影響もない、放置しておいても支障がない城に対する無意味な戦。そのために銭をつぎ込み、田畑を破壊し、人命を損なった。
正義なき戦いと、それを屈することなく受けて立った(受けて立つことになってしまった)忍城側の馬鹿らしいほど損得抜きの決断。
戦国の世も、武士の意地とか言いながら、実は損得、計算、日和見、裏切りが蔓延していた、そんな中での一服のすがすがしさを長親に感じました。秀作。
◆ランチのアッコちゃん(柚木麻子)(双葉文庫)
豪快なアッコ女史と暗いOLミチコ、元コギャルの野百合と前園先生、ダメ社員のレミ♡レミ、軽いお話が四つ、簡単に読み飛ばしました。
マイペースにたくましい人、周囲にプラスの影響を与える人、ベタですが、何となく元気になれる感じもしないでもない、そんなお話でした。
◆くちびるに歌を (小学館ジュニア文庫)
まぬけなことに、間違えて、中田永一さんの小説ではなく、映画のノベライズ本を注文してしまった。
これで新垣由衣さんの映画を見た気になることにします。
感動的ではあるのだけど、ノベライズ本だけに薄いですよね、内容が。小説もこの通りのストーリーなのかな。そのうち読んでみます。
■山椒大夫・高瀬舟(森鴎外) (新潮文庫)
人買い、殉死、仇討などを描いた「山椒大夫」「興津弥五右衛門の遺書」「護持院原の敵討」「最後の一句」「高瀬舟」、「高瀬舟」を書く経緯を説明した「高瀬舟縁起」、自分の体験談をもとにしたと思われる「杯」「普請中」「カズイチカ」「妄想」「百物語」「二人の友」、全十二編の短編。
「妄想」が圧巻でした。良く理解できない部分もあったので、間をあけて再読したい。
◆舟を編む(三浦しをん) (光文社文庫)
本屋大賞受賞作が待望の文庫本化。
三浦しをんさんの作品、私は好きなものとそうでもないものがくっきり分かれるのですが、これは好き。ずっしりと読み応えがありました。
辞書作りというマイナーなテーマが良いし、こういう不器用に熱い人たちって、すごく好きです。松本さんの手紙には泣けたし、すっかり巻き込まれる脇役の西岡さん、岸辺さんの心持ちも良い。
◆海賊とよばれた男(上・下)(百田尚樹) (講談社文庫)
百田尚樹の本屋大賞受賞作ということで読み始めた。
大東亜戦争の原因は石油であり、日本は輸送船を潜水艦に沈められ、兵站が確保できなくて戦争に負けた。真っ当な戦略、戦術も立てられずに、エリート集団だったはずの日本の陸海軍のなんと愚かなことよと思う。
上巻はやや冗だったけど、長下巻は盛り上がりました。
日本の石油産業の将来は、独立自尊、垂直統合、自由競争にあるという強い信念の下、妥協することなく自説、自らの人生観を貫き通し、戦後、60歳から自社を大会社に育て上げた男。
正直、経営者としてどうかなーと思うところも無きにしも非ずでしたが、その生き様には心打たれました。
特に日昇丸をイランに駆けつけさせた件は涙なくしては読めませんでした。
◆想像ラジオ(いとうせいこう)(河出文庫)
読みづらかったし、分かりにくかった。
霊魂とか、死者の声とかは、基本的に生きている人のためのもの。多くの人が死んでしまったという事実も、だからどうあらねばならないかということも、所詮は生きている人が受け止めなければいけない問題。
あの震災の直後、確かに我々は現実を重く受け止め、日本人として何をすべきかということを考えていた。
その気持ちを風化させてしまってはいないか。そういう話だと思って読みました。全然違うかもしれないけど。
◆悪の教典〈上・下〉 (文春文庫)
うーん、「殺人鬼フジコの衝動」を上回るこのイヤな感じは、主人公が高校教師だからでしょうか。自分、教師という職業にあこがれを感じていたので。とにかくただひたすら後味の悪い小説でした。
三池崇司の解説も最悪。
◆<子ども>のための哲学 講談社現代新書(永井均)
もう既にブログに読書感想文をUPさせていただきましたが、今この本を読んで初めて、「ああ、哲学ってそういうことなのね」と少し分かった気になりました。
子どものために哲学を分かりやすく説明した本かと思ったらそうでもなくって、大人の哲学に対する<子ども>の哲学書なのですね。
そういえば自分も子どもらしからぬこまっしゃくれたことに悩む子供でした。目からうろこの一冊です。
◆風に立つライオン (さだまさし)(幻冬舎文庫)
これも映画を見た話をブログにアップしましたが、この歌には本当に元気づけられてきました。
あの歌を元にした小説、文庫本化されるのを楽しみにしてました。
石巻にもボランティアで3回行きました。あの時は、自分がこの国のために何ができるのか、本当に考えました。
もう、この本、涙腺緩みっぱなしでした。
◆サウスバウンド 上・下 (奥田英朗)
子供の世界ってのは、まあ、こんなもんなんだろうけど、上原父が滅茶苦茶ですね。
上巻は中野編、下巻は西表島編、上巻のテーマが友情なら、下巻は家族、でしょうか。
主人公のタイプは違えど、直木賞受賞作の「空中ブランコ」のような、破天荒な男を描いた痛快なエンターテインメント小説、伊良部医師と上原一郎がダブりました。
それにくらべて、自然保護団体の主張の何とも薄っぺらなこと。
私も沖縄や石垣島は大好きなのですが、まだ西表島は行ったことないなー。あの何とも言えないゆるさ、適当さが良いです。理屈抜きで楽しく読めました。
◆64(ロクヨン) 下(横山秀夫) (文春文庫)
D県警の汚辱ともいえる時効直前の誘拐殺人事件64(ロクヨン)をめぐる警務部と刑事部の対立、そんな中で模倣事件が起きる。
すごかった。夜更かしして一気読みしてしまいました。
警察の存在目的は市民の生命、財産、安を守ること、でも組織が肥大化すれば、組織は自らの維持、拡大を優先し、そのための隠ぺいや抗争が起きる。
それを打開するのは現場の人、一人一人の意識、使命感、行動。
緻密なミステリーと組織の中の人の在り方、仕事への使命感みたいなもの両立させて描いた佳作と思います。
このミス大賞、本屋大賞2位は伊達じゃない。
◆東京島 (桐野夏生)(新潮文庫)
木村多江さん主演で映画化された作品なので、脳内変換して読み始めたのですが、読み進むにつれて、清子はどうも彼女ではないなと。
奇想天外であり得ない設定なのと、ここまで人は助け合わないものなのかなと思い、読後感は良くなかったです。
◆月と蟹(道尾秀介) (文春文庫)
慎一と晴也の少年二人に、少女鳴海を加えたバランスの悪い小学生3人は、母子家庭、父子家庭、親同士の恋愛、DV、夫々家族に心の傷を持つ。
そんな中、彼らが夢中になった不気味で残酷なヤドカミ様の儀式。相手の嘘を何でも見透かしてしまう気味の悪さ。
その割には、慎一の行為自体は何とも幼くて脆い。
道尾さん、これで直木賞を取ったんですよね。なんとも後味の悪い小説でした。
◆のぼうの城 上・下(和田竜) (小学館文庫)
和田竜さんの歴史小説は、「忍びの国」に続いて2冊目。成田長親なんて人、知らなかったです。忍城も、古代史オタクなのでさきたま古墳群は見に行ったのですが、そばにそんなものがあるの知らなかったです。
何ともマイナーな史実を、また風変わりな男を主人公にしたもので、他の作家さんの歴史小説にはない味を出しています。
戦国時代に数限りなくあった攻城戦の一つ、なのでしょうけど、秀吉の天下統一事業にとってはなんの影響もない、放置しておいても支障がない城に対する無意味な戦。そのために銭をつぎ込み、田畑を破壊し、人命を損なった。
正義なき戦いと、それを屈することなく受けて立った(受けて立つことになってしまった)忍城側の馬鹿らしいほど損得抜きの決断。
戦国の世も、武士の意地とか言いながら、実は損得、計算、日和見、裏切りが蔓延していた、そんな中での一服のすがすがしさを長親に感じました。秀作。
◆ランチのアッコちゃん(柚木麻子)(双葉文庫)
豪快なアッコ女史と暗いOLミチコ、元コギャルの野百合と前園先生、ダメ社員のレミ♡レミ、軽いお話が四つ、簡単に読み飛ばしました。
マイペースにたくましい人、周囲にプラスの影響を与える人、ベタですが、何となく元気になれる感じもしないでもない、そんなお話でした。
◆くちびるに歌を (小学館ジュニア文庫)
まぬけなことに、間違えて、中田永一さんの小説ではなく、映画のノベライズ本を注文してしまった。
これで新垣由衣さんの映画を見た気になることにします。
感動的ではあるのだけど、ノベライズ本だけに薄いですよね、内容が。小説もこの通りのストーリーなのかな。そのうち読んでみます。
■山椒大夫・高瀬舟(森鴎外) (新潮文庫)
人買い、殉死、仇討などを描いた「山椒大夫」「興津弥五右衛門の遺書」「護持院原の敵討」「最後の一句」「高瀬舟」、「高瀬舟」を書く経緯を説明した「高瀬舟縁起」、自分の体験談をもとにしたと思われる「杯」「普請中」「カズイチカ」「妄想」「百物語」「二人の友」、全十二編の短編。
「妄想」が圧巻でした。良く理解できない部分もあったので、間をあけて再読したい。
◆舟を編む(三浦しをん) (光文社文庫)
本屋大賞受賞作が待望の文庫本化。
三浦しをんさんの作品、私は好きなものとそうでもないものがくっきり分かれるのですが、これは好き。ずっしりと読み応えがありました。
辞書作りというマイナーなテーマが良いし、こういう不器用に熱い人たちって、すごく好きです。松本さんの手紙には泣けたし、すっかり巻き込まれる脇役の西岡さん、岸辺さんの心持ちも良い。
◆海賊とよばれた男(上・下)(百田尚樹) (講談社文庫)
百田尚樹の本屋大賞受賞作ということで読み始めた。
大東亜戦争の原因は石油であり、日本は輸送船を潜水艦に沈められ、兵站が確保できなくて戦争に負けた。真っ当な戦略、戦術も立てられずに、エリート集団だったはずの日本の陸海軍のなんと愚かなことよと思う。
上巻はやや冗だったけど、長下巻は盛り上がりました。
日本の石油産業の将来は、独立自尊、垂直統合、自由競争にあるという強い信念の下、妥協することなく自説、自らの人生観を貫き通し、戦後、60歳から自社を大会社に育て上げた男。
正直、経営者としてどうかなーと思うところも無きにしも非ずでしたが、その生き様には心打たれました。
特に日昇丸をイランに駆けつけさせた件は涙なくしては読めませんでした。
◆想像ラジオ(いとうせいこう)(河出文庫)
読みづらかったし、分かりにくかった。
霊魂とか、死者の声とかは、基本的に生きている人のためのもの。多くの人が死んでしまったという事実も、だからどうあらねばならないかということも、所詮は生きている人が受け止めなければいけない問題。
あの震災の直後、確かに我々は現実を重く受け止め、日本人として何をすべきかということを考えていた。
その気持ちを風化させてしまってはいないか。そういう話だと思って読みました。全然違うかもしれないけど。
◆悪の教典〈上・下〉 (文春文庫)
うーん、「殺人鬼フジコの衝動」を上回るこのイヤな感じは、主人公が高校教師だからでしょうか。自分、教師という職業にあこがれを感じていたので。とにかくただひたすら後味の悪い小説でした。
三池崇司の解説も最悪。
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