ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

18年9月に読んだ本

2018-10-01 23:41:22 | 読書
9月は16冊読みました。
チャレンジ中の「新潮文庫の100冊」から4冊、カドフェス(角川文庫)から1冊、ナツイチ(集英社文庫)から2冊。「新潮文庫の100冊」は残すところあと8冊。
◆青の数学 (王城夕紀)
自分は、数学はあまり成績は良くなかったけど好きで、理系じゃないのにあえて受験勉強したりしたので、ちょっと気持ちは分かります。自分は運動部だったけど、文化部にもきっとこんな熱い場面があったのだろうな。数学を題材にした小説なのだから、バトルの場面はもっと難解でマニアックでもよかったのでは。

◆遠くの声に耳を澄ませて (宮下奈都)
短編集、というよりも掌編集かな。心が揺れる女性たちをほんわりとつつむ人との絆、登場人物が微妙に繋がっているのを考えながら読むのも楽しい。

◆ヨーロッパ退屈日記 (伊丹十三)
伊丹十三さんというと、奇妙な死に方をした有名な映画監督というイメージが強かったのですが、なるほど、若い頃から粋で多彩な人だったのですね。
1960年代のヨーロッパってちょっと想像がつかなかったけど、時代を感じます。英語の発音に関するうんちくが興味深く、実戦的で役に立ちました。

◆くちぶえ番長 (重松清)
おそらくは今のツヨシくんをかたち作ったであろう小4の時の成長物語であり、同時に淡い初恋の思い出でもある。当たり前だけど小学生の頃ってすごい子供で、自分の気持ちに素直になれないと言うか、気が付けないというか。その思いでも今や大切な思い出も時の彼方に飛び去って、記憶も定かではなくなって、追いかけようもないことになっているのだけど、ノートがあって、当時の事を思い出せてよかったね。

◆後宮に星は宿る 金椛国春秋 (篠原悠希)
中華風の異世界ファンタジー、ありがちな舞台設定ではある。皇后になったらその一族は先帝と殉死、ただ一人逃げ出した病弱な少年の復活劇、策謀渦巻く後宮で、正体を隠しながらもなんとか前を向いて生きていく星遊圭、って、あれ、終わっちゃたよ。これ、続き物だったのですね。

◆ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (小湊悠貴)
素朴でおいしい料理と善人ばかりでてくる、良くある感じのお料理小説。出張の新幹線の中で読むにはちょうど良い本だった。

◆オーバーキル バッドカンパニー2 (深町秋生)
K原選手を思わせる元プロ野球選手の薬物中毒治療の見張りやスーパーフリーを思わせる大学生の強姦サークル潜入、でもそれぞれに裏がある。型破りの女社長が経営する表向きは人材派遣会社が、ガチでヤクザと対決する。エンタメ小説としては面白い。

◆大家さんと僕(矢部太郎)
じわじわと売れて、最近は随分と話題にもなりました。大家さん、終戦の時17歳ということは昭和3年生まれ、私の父や義母と同い年。大家さんにとって矢部くんは肉親以上だったのでしょう。少子高齢化、人口減少社会における理想的な大家さんとの関係ではないでしょうか。です。
大家さん、亡くなられたのですよね。矢部さんは今どういう気持ちでこれを読み返すのかと思うとじーんとなりました。

◆AX アックス(伊坂幸太郎)
伊坂幸太郎さんの「殺し屋」シリーズ第3弾は、軽妙な短編連作。槿や蜜柑・檸檬兄弟、スズメバチ等「グラスホッパー」「マリアビートル」に登場したおなじみの名前は出てくるものの、恐妻家の殺し屋「兜」を主人公にした新作。
「死ぬのは怖くない。だが、死んだら妻が怒るかな、と考えた時だけ、少し怖くなった」、 家族想いで足を洗いたいのに洗えない、凄腕なのに変に善良で罪の意識から逃れられない人柄に可笑しみを感じる。夫に対し鈍感な妻に比べ、息子の克己が、男同士って感じで良い。

◆破滅の王(上田早夕里)
序盤であの悪名高き石井四郎陸軍中将が登場したので、森村誠一さんの「悪魔の飽食」が思い浮かび、細菌兵器、人体実験、これはもしかしてかなりリアルに悲惨な話になるのだろうと思ったが、中盤、キングの話になった時点で、直木賞候補らしい、エンタメ性のある小説になった。
五族協和を本気で信じて行動する科学者や医者がマッドサイエンティストや陸軍に挑む、なかなかに熱くてスケールの大きな話。

◆風神の手(道尾秀介)
正直者と信じていた父が実は嘘つきで、その嘘が女子高校生と若き漁師の恋路を壊してしまう「心中花」を読んだ時点では短編集かなと思っていたが、短編連作だった。小学5年生の2人が遭遇した立てこもり事件(口笛鳥)と、 死を目前にした老女の昔の罪(無常風)が、遺影専門の写真館を軸につながり、15年前の事件の因果関係が明らかにされていく。道尾さんらしい緻密な一作。読み解くのにけっこう頭を使って疲れた。

◆誰も僕を裁けない (早坂吝)
援交探偵・上木らいちシリーズは全作読んでいて、本作も図書館本で既読だったが、文庫本になったのを機に購入して再読。奇想天外なトリックにぶっとんだ犯行動機とさりげなくちりばめられた叙述トリック、おふざけの様で、それでいて大技も小技も効いた、良くできたミステリ。

お気に入りのラノベを2冊。
◆エロマンガ先生(10) 千寿ムラマサと恋の文化祭 (伏見つかさ)
この作品も早や10巻だが、どんどんバカバカしくなってくる気がする。いつまでやるのかな、これ。まあ、面白いから良いか。
部屋から出られないヒロインに代わり、サブキャラが活躍するこのシリーズ、今回は千寿ムラマサ先生回。山田エルフ先生に続きかなりキャラ立ちしてきた。

◆りゅうおうのおしごと! 8 (白鳥士郎)
今回は脇役のお二人、月夜見坂燎と供御飯万智の女流棋士の回。お二人の山城桜花戦の戦いは熱いのだけど、間に挟まる八一らの話はなんとも緩い。なんだよ八一、ロリコンと思ったら万智さんもかよ。
まあ、長く続けるのであれば、こういう回もあっても良いかも。

◆紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男 (野崎幸助)
単純計算すると1人あたり75万円か。。。
不慮の死でワイドショーを賑やかした著者を、女性を性欲の対象としてしか見れない、金しか自分を証明するものを持たない、哀れな男と思っていたが、もしかすると違うのかもしれない。いくつになっても20代のグラマラスな女性とのエッチしか頭にない彼の性癖には全く賛同できないが、自分の信念を一途に貫いた男の一代記として読めば、これはこれでかなり面白い。女性に騙されても懲りずに最期まで成金スケベじじいを全うしたこの男の人生にすがすがしさを覚えた。
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