アイスランドの南東の町ホフン(Hofn)は1946年300人の住人から1988年には人口1670人と増えた比較的新しい町で、バツナ氷河の最東端のフィヨルドに面し、漁業や観光(氷河登攀)を主産業にしています。この町の入り口近くにキャンプサイトがあり、ここで一泊しました。割と大きなスーパーが一軒あり、この夜の食料を買い込み、歩き回って見ましたが住宅以外見るものもあまり無い町でした。
ホフンの町を出発したときは、厚い雲が山の中腹より下りてきて気温も6度、寒くて気が滅入りそうでした。
ホフンもフィヨルドの町で海岸線を北にたどると、波の無いまるで湖のような海が見え隠れします。フィヨルドの海には白鳥の群れが多く見られました。火山灰で出来たような崖が多く、ここを登ることは不可能だろうと思います。途中で道路工事をしているところに行き着き、山側の砂丘のような崖には山崩れを防ぐ頑丈な壁が作られていますが海側にはガードレールも無いのです。
ホフンから100Kmほど北へ行ったフィヨルドの村・デュペヴォーグル(Djupivogur)は人口460人、キャンプサイトがあり小さな港の周りが駐車場になっていました。午前中にこの村に着いてしまい、今夜をこのキャンプ場で過ごすと午後の半日暇をもてあますことになりそう、そんな小さな村でした。駐車場のすぐ横に小さなお土産店がありのぞいてみると、おばさんがセーターを編みながら店番です。セーターはこの土地特有の肩から胸にかけて編みこみ模様のあるものでこの店で売っているのはこの土地の主婦が編んだ色とりどりのセーターや手袋、帽子などでした。
このセーターを一枚欲しいと思ったのですが、どうしても手触りが悪くてまたもやあきらめ、おばさんとおしゃべりしました。
”今日は天気が悪くてここの素晴らしい山が見えないけど、天気の良いときはここは素晴らしいのよ。夏の平均温度は5から10度ぐらいだけど、冬は割と暖かいのよ” ”そうねー、冬はマイナス5度からマイナス10度くらいかしら”
この村を出ると次のキャンプサイトは150Km 先のエイギルスタディルの町しかありません。まだ時間は充分と出発しましたが村を出てしばらくすると、N1では初めて出会う未舗装の道、これが100Kmぐらい続きました。
途中から急に信じられないくらい周囲が明るくなりはじめ素晴らしい青空、山並みは青く輝いています。土ぼこりを揚げながら谷間の奥に向かって行くと、道は急なジグザグの登りになりました。傾斜が激しい道で谷間を見下ろすと素晴らしい展望が開けていました。山頂へたどり着く前のくの字に曲がった道端のガードレールが壊れていて、以前に車がここからまっさかさまに落ちたに違いありません。山頂の湖(写真14)を見たときは本当にホッとしました。又この日が雨や雲の中でなくて本当にラッキーでした。