朝9時過ぎ船室の窓からはるかに連なる雪山が見えてきました。フェリーはアイスランドの東海岸セイデス・フィヨルドの最奥の港セイデスフィヨルドンにむかいます。強風は冷たく、にわか雨が降ったりやんだり、気温は0度ぐらいでしょう。船客はほとんどがデッキに出て写真を撮っています。
皆冬装束で、キャンパーの中にアノラックを置いてきた私たち二人、寒さに震えながらデッキと船内を行ったり来たりしていました。
フィヨルドの奥に進むに従い両側の険しい山が迫ってきて、雪山から流れ落ちる滝や、水際にポツンと建っている小さな家や野原を一面に青く染める野の花が見えてきました。隣で双眼鏡を覗いていたドイツ人の女性にあの花は何の花だろうかと聞きますと、見てごらんと双眼鏡を貸してくれましたがやはり遠くて何だかわかりません。
フェリーはお昼の12時にセイデスフィヨルドンの港に碇を下ろしました。そしてあの青い花は野生のルピナス(登り藤)だと判りました。周囲の山がパッチワークのように青く彩られているのです。