朝起きてみると雪。
降ってもいるけれど
夜半から降り始めたのか
あたりにはうっすらと積もっている。
車などはうっすらどころじゃない。
何センチも積もっていて雪下ろし?が大変。
なんで~?
よりによってきょうが雪なのよっ!
と、失意。
どん底から抜け出すべく桜弁当を作り始める。
作っているうちに覚悟ができてきた。
だれが来なくたって、私だけでも聴こう!
お客様のためにカイロ30個入りを2箱買う。
室内に花があれば明るくなるなあ、
と、花屋さんに花束2つ届けてねとお願いする。
そして現地に到着。
管理人さんが
「雪だしだれも来ないから中止かと思いましたよ」と。
それから無心に準備に取り掛かる。
座布団を敷いて、舞台の準備、お茶の準備、受付周り、
案内表示、もろもろ。
そうこうするうちにお手伝いを頼んだスタッフが次々と。
お客様は一人もキャンセルなしに集まって
受付では悲鳴を上げるほどの混雑となった。
期待の熱気でムンムン。
朗読がすばらしいのは当然のことながら
一弦琴の音色が美しく調和して
えもいわれぬ雰囲気をかもし出す。
のれんの隙間から会場の様子を覗くと
お客様の集中力はすごい。
咳一つせず、物音一つ立てず真剣に聴き入っている。
終わってから一人の男性が朗読家のところへやってきた。
「情景が浮かんできて
まるで映画を見ているようでした。
ちょっとうるんでしまい危ない場面もあったんですよ」
別の男性が言いました。
「きょうの朗読は、
これまでの朗読の観念を打ち破るくらい
グレードの高さを感じました。
無理して来て本当によかった」
ティータイムには桜もちと煎茶のサービス。
スタッフが総力を挙げて入れたお茶はさぞおいしかっただろう。
お香の加藤さんが伽羅を焚いてくださり、
それも好評であった。
また、シダレザクラの南画の掛け軸には
その前までにじり寄って見入っていた人もいた。
桜の押し花のランプが心に明かりをともした。
一弦琴に興味を持った人は
先生の指導で即座に「さくらさくら」に挑んだりしていた。
このように一体感のあるとてもよい朗読会になったように思う。