台風接近中の情報に、とにかく外に出なければならない用事は午前中にぜんぶ済ませよう!と臨戦体勢で出かけたら、買って帰る物のリストメモを忘れて出て、手探りの帰り道になってしまった(悔)。
どうも最近、社会人一年生の頃と同じように、“大切なことはメモを取るように心がけているんだけど、メモ取ったら取ったことで安心してしまい、メモをどこかに置き忘れる”傾向にあります。
昨日も書いたけど、人間、本当に年を重ねても成長しません。雪山で道に迷ったように、ぐるっと回って元の地点に戻るだけのような気がします。
北進スピード途中でダウンしたのか、予報より遅れて、台風、夕方から当地にご訪問。んならそんなにアワくって出かけることなかったよ。
『金色の翼』第50話。
小説家絹子先生(高嶺ふぶきさん)が8年前の槙(高杉瑞穂さん)兄のかかわる殺人事件を担当していた捜査一課の女刑事だった…というサプライズは、ここんとこ糸口がたんまり呈示されていたので、さほどの仰天ではありません。
思えば、2話で誠司(五代高之さん)を泥棒と間違えて完璧な捕縛をかけたり、30話の迫田(片岡弘貴さん)転落時に静江(沖直未さん)が「調書だのなんだの面倒だわ」と警察通報を嫌がると「よくご存知ね」と皮肉ったり、前半から山のようにヒントはありました。
19話で、玻留(倉貫匡弘さん)に荒らされた槙の部屋を覗きに来たとき「私ならこんなもんじゃ済まないわ」と、当時は意味不明に聞こえましたが、普通に「私はガサ入れの鬼よ」ということだったのかも。
結局、杉浦支配人(佐々木勝彦さん)の「どこかで会った記憶がある…」という直感と食い下がりがいちばん正解に近かった。眼鏡と突飛なエスニック・ルックで変装する前の保科刑事に、娘さん殺害事件直後はよく顔合わせて聴取など受けていたわけです。
今日は絹子のカミングアウトよりも、昨日波頭が砕けるように別れた槙と修子の、二度の電話の会話が良かった。
一度めは槙から、傷が回復した玻留外出中、修子ひとりの家へ「その後、彼はどうしてるかと思って」と見舞いの電話。
「医者に口を利くほどの力は俺にはない、俺は飛びたくても飛べない、翼を持たないイカロスだから」と言う槙に「あなたには島がお似合いよ、無理に飛んで来る必要はないわ」と微笑む修子に、皮肉や冷笑の翳はありません。
ホテルの経営危機が去ったいま、セツ(剣幸さん)の信頼あつく可愛がられてもいる槙に、パイロットの夢は遠いものではない。さらには槙を思い尽くす理生(肘井美佳さん)もそばにいます。“人に利用されるより、人から必要とされる人生”(37話)は、槙にふさわしく、修子からは羨ましいくらいの人生かもしれない。
二度めは修子から槙へ、島に渡ったらしい玻留のことを頼むついでに「このあいだは見苦しいところ(=奥寺に鞭打ち報復して嫌悪感から痛飲)を見せてしまってごめんなさい」
槙「嫌なこと、少しは忘れたか」
修子「どうかしら、でも忘れたふりをして前に進むしかない、これまでもそうして生きてきたから」
槙「やはりあんたは強い女(ひと)だ」
修子「ええ、だからひとりでも生きられる」
………このあと修子から「理生さんに、お邪魔して悪かったと伝えて」と切るまでの、ふたりどちらからも何か言いたそうで言わない、間(ま)がいいんだね。
一度めも、二度めも、ここまでの事情や極め付き官能シーンの累積を知らなければ、まるで普通の元・恋人同士のような穏やかさ。
ともに決して冷めたわけではない、むしろいよいよ熱い思いを、諦観と惻隠の衣に包んで、あえてぶつけない、放射しない、だから正直に伝わってくる、こんな恋愛表現も、前半の“どこまで本音か演技かわからない”しつこいくらいの抱擁キスシーンの反復があったればこそ。
修子のぎりぎりの報復に対し、リカバリーのしかたまでラブコメコミックの敵役チックな奥寺(黒田アーサーさん)も、静江の絶妙なイヤ汁女っぷりに助演されて(「ムチ打ち?車におカマでも掘られた?」「ムチが違うがね」)、またも一服のお笑…いや清涼剤になってくれましたが、修子さんがあれだけ歯を食いしばって頑張ったんだから、ここはひとつ、メイクでも無精ヒゲくらい伸ばしてダメージ大きさを表現してほしかったな。
来週は絹子刑事の活躍で、迫田もなんらかの形でひと声ありそうです。島のシーンも夏の終わりを意識してか、黄橙色の夕映えのような色調が多くなってきました。
滑走路一本、一日1回のヘリだけが外界との連絡口で、携帯電話も通じない離島。
離島ものにお約束の、台風直撃・交通途絶のエピソードは無しで終わるのかな。