玉山鉄二さんを初めてTVで俳優として見たのはもちろん01年~02年の『百獣戦隊ガオレンジャー』ですが、「あ、ガオシルバーP&Gの洗剤“ボールド”のCMに出てるな」と気がついたのは『新・愛の嵐』の放送中ですから02年夏だったと思います。当時の共演は格闘家の武蔵さんでした。
特撮ヒーローでママさんたちのハートをがっちりつかんだイケメン俳優を主婦向け商品のCMに起用、というのはベタだけど正解だし、主婦向けの最たるものである“洗剤”のCMをあえて男性オンリーのキャスト、それも“さわやか”“清潔感”“ソフト&マイルド”と対極にある汗臭い、暑苦しい顔ぶれ(武蔵さんの後、藤岡弘、さん山下真司さん錦野旦さん嶋大輔さん宇梶剛士さん朝青龍安田大サーカス浅草キッド…現オンエア中は陸上末續慎吾さん)でというのも、狙い過ぎてちょっと嫌味だけど、他社同類製品と一線を画するアピール力として間違った狙いではない。
その証拠にこのCM、もう5年も続いているロングシリーズになりました。
しかし、俳優・玉山鉄二としては、どうなんでしょうコレ。
5年の長きにわたって、ひとつの企業の一つのブランドCMのメインキャラを張って、その間、降ろされるようなスキャンダルの一つもない、というのはタレントとしてプラスにこそなれマイナスにはならないでしょうが、このCMに出続けてることによって、玉山さん、もう『ガオレン』から5年、27歳なのに、いつまでたっても“小モノ感”“パシリ感”が拭えないような気がするんですが。
『ガオレン』以後、ボールドCM以外で役者してる玉山さんを見たのは『離婚弁護士』『離婚弁護士Ⅱ~ハンサムウーマン~』だけです。
その前に『薔薇の十字架』ってのもあったっけか。月河は日本映画、特に現代ものを全然観ないので、もっと幅広くご活躍なのかもしれない。
しかし、いまの玉山さん、『ガオレン』にガオレッドとして出演時27歳だったチームメイト・金子昇さんの当時及びガオレン直後より、もっと“誰かの子分”“弟分”“サーバント”感が強いと思う。
これは俳優として、プラスなのかマイナスなのか。
…余計なお世話焼いてしまいました。何せ、昼ドラ追っかけてく限り、毎日見るもんでね、P&G。
その本編『金色の翼』第55話。
ここへ来て“ザ・剣幸ショー”の様相を呈してきました。
1話で島に身分を隠して旧姓で訪れた修子(国分佐智子さん)を部屋に案内した時の「あなたにもきっと、何か大切な思い出がおありになるんでしょうね」で、このオーナー何かこの客に対して秘めるところあるぞ…とは速攻思わせていましたけどね。
今日は玖未(上野なつひさん)も、パパ奥寺(黒田アーサーさん)に、「死んだママも、ママのお父さんよりパパを好きになったから私を産んだって言ってたわ、私もママのようになりたい、初めてパパより好きになった人が玻留(倉貫匡弘さん)だから、玻留の赤ちゃんを産みたいの」と嘆願する場面で最大の見せ場が来ましたが、彼女らに比べるとここ1~2話、槙(高杉瑞穂さん)の表出力がまことに弱いな。
逃亡中の兄と、修子との板挟みで引き裂かれる苦悩もあまり痛切に伝わってきません。そういうシーンが用意されていないから仕方がないのですけど。
そんな中、支配人妻栄子(増子倭文江さん)のバランス感覚がお見事です。槙兄に殺害されたひとり娘にかかわる動きのあるときだけ逆上したり昂奮したり息せき切ったりするけど、その他は“仕事だからやってる”のみの低体温。悪意あるいい加減さがない代わり、特別熱い忠誠心もなし。
このおかげで、客たちやオーナーチームの“ただごとでない(何ものかへの)執着心”や“欲深さ”が際立つ。夫・杉浦支配人役の佐々木勝彦さん共々、これぞプロ役者、という青年座コンビです。