大井川鐵道は東海道本線金谷から寸又峡温泉への玄関口である千頭までを結ぶ大井川本線、
中部電力から委託を受けている井川湖湖畔へアクセスする井川線を所有する地方鉄道である。
名鉄グループに属し、大井川本線でのSL運転などでも有名である。
しかしSLだけではなく、この鉄道には隠れた魅力が一杯なのだ。
金谷から千頭までの大井川本線は沿線住民の生活路線であると同時に、
寸又峡温泉へのアクセスのための観光鉄道ともなっている。
SLが運転されているものの、基本的には直流電化されていて電車が使用されている。
39.5km、19駅の単線路線で、使用される車両は関西大手私鉄からの譲渡車である。
しかもオリジナル塗色への変更はせず、譲渡元の塗色のまま使用されており、
ちょっと不思議な感覚が持てる。
これは長野電鉄に譲渡された小田急ロマンスカー10000形による1000形「ゆけむり」にも似ている。
近鉄16000系、京阪3000系などが見られるが、
その中でも特筆なのが21001系で、これは元南海電鉄高野線で使用されていた「ズームカー」である。
前面の丸いデザインが特徴で、この車両は一畑電鉄で取材したものの、
南海電鉄当時の塗色を残しているのは魅力的である。
井川線はもともと電力会社の専用線として敷設され、
のちに千頭までの旅客線を運営している大井川鐵道に運営を委託する形になって旅客鉄道となった。
基本的には非電化単線だが、1990年10月2日にアプトいちしろ-接岨峡温泉間を路線変更した際、
アブトいちしろ-長島ダム間を電化し、アプト式鉄道として開通させた。
全区間ディーゼル機関車が千頭方に連結され、井川方には制御客車を連結して推進、牽引運転する。
アブトいちしろ-長島ダム間はディーゼル機関車の前に電気機関車を連結し、
90‰の急勾配をラックレールを噛むことによって通行可能にしている。
ダム建設に沈んだ旧線を車窓から眺めることが出来るなど、観光特化した鉄道といえる。
大井川鉄道は今まで一度も乗ったことがない。
乗ったことがないどころか、金谷で下車したことがないため、車両取材もしたことがない。
距離的に中途半端な位置にあり、
泊まりがけで行くほど遠くはないが、
日帰りで行くにはちょっと距離があり、気が向いた時に直ぐ行ける距離でもない。
そのためずっと後回しになっていたのである。
平日に行動できるこの時期に行っておこうと思い、
往復を新幹線移動で時間を稼ぎ、その代わり日帰りの強行軍で計画を立てた。
8月11日(火)
05:47幕張-総武緩行線・上り515C(41)-06:28秋葉原[6]
06:34秋葉原-山手線・外回り505G(4)-06:38東京[25]
※駅弁購入
07:03東京※-東海道新幹線「ひかり461号」(63/1:03)-08:06静岡[8]
08:14-17静岡※-東海道本線・下り735M(32)-08:49金谷[73/1:13]
※大井川・あぷとラインフリーキップ 5,500円購入
※SL急行料金 560円
10:02金谷※-急行「南アルプス号」1001(83/1:23)-11:25千頭[35]
12:00千頭※-大井川鉄道井川線・下り205(66/1:06)-13:06奥大井湖上[77/1:17]
14:23奥大井湖上-大井川鉄道井川線・下り207(43)-15:06井川[42]
15:48井川※-大井川鉄道井川線・上り208(110/1:50)-17:38千頭[36]
18:14千頭※-大井川鉄道・大井川本線・上り32(74/1:14)-19:28金谷[30]
19:58金谷-東海道本線・上り850M(30)-20:28静岡[3]
20:31-36静岡-東海道新幹線「ひかり484号」(64/1:04)-21:40東京[24]
※駅弁購入
22:04東京-総武快速線・下り2055F(28)-22:32津田沼[9]
22:41津田沼-総武緩行線・下り2130B(6)-22:47幕張
この計画に合わせて幕張-金谷の往復乗車券8,620円と、
「ひかり461号」東京→静岡の指定席特急券3,120円、
「ひかり484号」静岡→東京の指定席特急券3,120円を購入する。
大井川鐵道のホームページから急行「南アルプス号」のSL座席予約を行う。
計画の3日前まではこの週はずっと晴れマークが並んでいた。
快晴の空の下で気持ちよく車両取材が出来ると思っていた。
しかし前日になって突然計画変更を余儀なくされる事態が起こった。
「台風9号」の接近である。
10日夜から11日朝にかけて関東にもっと接近するコースが予測されている。
兵庫県佐用町では死者、行方不明者の出る大惨事になっているようだし、
山の中を大井川に沿って走る大井川鐵道では台風の影響で落石や川の氾濫などの影響も十分考えられる。
そこで熟慮の結果、残念だが今回は計画を中止することにした。
JR幕張駅の窓口に行って払い戻しをする。
購入経費は14,860円だが、手数料を引かれたため、12,790円が払い戻しとして口座に戻された。
大井川鐵道営業部SL係に電話し、キャンセルを申し出る。
台風が近づいていることもあり、快くキャンセルに応じてくれた。
また近いうちに大井川鐵道については取材を計画することにしよう。
そう心に誓う林檎乃麗であった。
めでたし、めでたし・・・。
しかし自体はさらに予想も出来ないことになっていた。
11日の朝、寝ている時に携帯電話に着信があり、留守メモが録音されていた。
大井川鐵道からのメッセージだった。
「あ、えーと××様の携帯電話でしょうか。
こちら大井川鐵道と申します。
えーと、本日ご予約戴いたSL列車ですが、えー、今朝方の、えー、地震により、
え、運転を休止、えー、中止させて戴きました。
えー、また、えー、機会がありましたら、ご利用の方をお願い致します。
えー、ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません。」
今朝方の地震?
留守電を聞いた時は分からなかったが、ニュースを見てびっくりした。
静岡中・西部、伊豆で震度6弱 静岡・愛知23人けが(朝日新聞) - goo ニュース
8月11日、5:07a.m.頃、駿河湾を震源とした地震があり、
静岡県中西部や伊豆半島で震度6弱を観測したという。
これによって東海道新幹線、東海道本線で遅れや運休が出ていて、
しかも大井川鐵道は全線運休中になっていた。
昨日、中止を英断したのは結果的には良かったと云える。
台風はそれて中止するほどでもなかったが、
決行していたら東京駅から乗った「ひかり号」の中でこの伝言を聞くことになり、
しかも東海道本線は熱海-浜松間で運転を見合わせていたために、
静岡まで行けたとしてもその先の足がない。
結局、右往左往して金谷まで行ったとしても結局全線運休で何もせずに帰ってくることになっただろう。
大井川鐵道は11:40に運転を再開したようだが、
それでも予定通りの取材は出来ないし、タイトな計画のために無駄な動きしかできなかっただろう。
井川線を諦めて大井川本線のみの取材がいいとこだっただろう。
今年の夏はどうもSLに振り回される夏の様な気がしてならない。
それでもまた9月には大井川鐵道の取材の計画をリベンジしようと思う。
中部電力から委託を受けている井川湖湖畔へアクセスする井川線を所有する地方鉄道である。
名鉄グループに属し、大井川本線でのSL運転などでも有名である。
しかしSLだけではなく、この鉄道には隠れた魅力が一杯なのだ。
金谷から千頭までの大井川本線は沿線住民の生活路線であると同時に、
寸又峡温泉へのアクセスのための観光鉄道ともなっている。
SLが運転されているものの、基本的には直流電化されていて電車が使用されている。
39.5km、19駅の単線路線で、使用される車両は関西大手私鉄からの譲渡車である。
しかもオリジナル塗色への変更はせず、譲渡元の塗色のまま使用されており、
ちょっと不思議な感覚が持てる。
これは長野電鉄に譲渡された小田急ロマンスカー10000形による1000形「ゆけむり」にも似ている。
近鉄16000系、京阪3000系などが見られるが、
その中でも特筆なのが21001系で、これは元南海電鉄高野線で使用されていた「ズームカー」である。
前面の丸いデザインが特徴で、この車両は一畑電鉄で取材したものの、
南海電鉄当時の塗色を残しているのは魅力的である。
井川線はもともと電力会社の専用線として敷設され、
のちに千頭までの旅客線を運営している大井川鐵道に運営を委託する形になって旅客鉄道となった。
基本的には非電化単線だが、1990年10月2日にアプトいちしろ-接岨峡温泉間を路線変更した際、
アブトいちしろ-長島ダム間を電化し、アプト式鉄道として開通させた。
全区間ディーゼル機関車が千頭方に連結され、井川方には制御客車を連結して推進、牽引運転する。
アブトいちしろ-長島ダム間はディーゼル機関車の前に電気機関車を連結し、
90‰の急勾配をラックレールを噛むことによって通行可能にしている。
ダム建設に沈んだ旧線を車窓から眺めることが出来るなど、観光特化した鉄道といえる。
大井川鉄道は今まで一度も乗ったことがない。
乗ったことがないどころか、金谷で下車したことがないため、車両取材もしたことがない。
距離的に中途半端な位置にあり、
泊まりがけで行くほど遠くはないが、
日帰りで行くにはちょっと距離があり、気が向いた時に直ぐ行ける距離でもない。
そのためずっと後回しになっていたのである。
平日に行動できるこの時期に行っておこうと思い、
往復を新幹線移動で時間を稼ぎ、その代わり日帰りの強行軍で計画を立てた。
8月11日(火)
05:47幕張-総武緩行線・上り515C(41)-06:28秋葉原[6]
06:34秋葉原-山手線・外回り505G(4)-06:38東京[25]
※駅弁購入
07:03東京※-東海道新幹線「ひかり461号」(63/1:03)-08:06静岡[8]
08:14-17静岡※-東海道本線・下り735M(32)-08:49金谷[73/1:13]
※大井川・あぷとラインフリーキップ 5,500円購入
※SL急行料金 560円
10:02金谷※-急行「南アルプス号」1001(83/1:23)-11:25千頭[35]
12:00千頭※-大井川鉄道井川線・下り205(66/1:06)-13:06奥大井湖上[77/1:17]
14:23奥大井湖上-大井川鉄道井川線・下り207(43)-15:06井川[42]
15:48井川※-大井川鉄道井川線・上り208(110/1:50)-17:38千頭[36]
18:14千頭※-大井川鉄道・大井川本線・上り32(74/1:14)-19:28金谷[30]
19:58金谷-東海道本線・上り850M(30)-20:28静岡[3]
20:31-36静岡-東海道新幹線「ひかり484号」(64/1:04)-21:40東京[24]
※駅弁購入
22:04東京-総武快速線・下り2055F(28)-22:32津田沼[9]
22:41津田沼-総武緩行線・下り2130B(6)-22:47幕張
この計画に合わせて幕張-金谷の往復乗車券8,620円と、
「ひかり461号」東京→静岡の指定席特急券3,120円、
「ひかり484号」静岡→東京の指定席特急券3,120円を購入する。
大井川鐵道のホームページから急行「南アルプス号」のSL座席予約を行う。
計画の3日前まではこの週はずっと晴れマークが並んでいた。
快晴の空の下で気持ちよく車両取材が出来ると思っていた。
しかし前日になって突然計画変更を余儀なくされる事態が起こった。
「台風9号」の接近である。
10日夜から11日朝にかけて関東にもっと接近するコースが予測されている。
兵庫県佐用町では死者、行方不明者の出る大惨事になっているようだし、
山の中を大井川に沿って走る大井川鐵道では台風の影響で落石や川の氾濫などの影響も十分考えられる。
そこで熟慮の結果、残念だが今回は計画を中止することにした。
JR幕張駅の窓口に行って払い戻しをする。
購入経費は14,860円だが、手数料を引かれたため、12,790円が払い戻しとして口座に戻された。
大井川鐵道営業部SL係に電話し、キャンセルを申し出る。
台風が近づいていることもあり、快くキャンセルに応じてくれた。
また近いうちに大井川鐵道については取材を計画することにしよう。
そう心に誓う林檎乃麗であった。
めでたし、めでたし・・・。
しかし自体はさらに予想も出来ないことになっていた。
11日の朝、寝ている時に携帯電話に着信があり、留守メモが録音されていた。
大井川鐵道からのメッセージだった。
「あ、えーと××様の携帯電話でしょうか。
こちら大井川鐵道と申します。
えーと、本日ご予約戴いたSL列車ですが、えー、今朝方の、えー、地震により、
え、運転を休止、えー、中止させて戴きました。
えー、また、えー、機会がありましたら、ご利用の方をお願い致します。
えー、ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません。」
今朝方の地震?
留守電を聞いた時は分からなかったが、ニュースを見てびっくりした。
静岡中・西部、伊豆で震度6弱 静岡・愛知23人けが(朝日新聞) - goo ニュース
8月11日、5:07a.m.頃、駿河湾を震源とした地震があり、
静岡県中西部や伊豆半島で震度6弱を観測したという。
これによって東海道新幹線、東海道本線で遅れや運休が出ていて、
しかも大井川鐵道は全線運休中になっていた。
昨日、中止を英断したのは結果的には良かったと云える。
台風はそれて中止するほどでもなかったが、
決行していたら東京駅から乗った「ひかり号」の中でこの伝言を聞くことになり、
しかも東海道本線は熱海-浜松間で運転を見合わせていたために、
静岡まで行けたとしてもその先の足がない。
結局、右往左往して金谷まで行ったとしても結局全線運休で何もせずに帰ってくることになっただろう。
大井川鐵道は11:40に運転を再開したようだが、
それでも予定通りの取材は出来ないし、タイトな計画のために無駄な動きしかできなかっただろう。
井川線を諦めて大井川本線のみの取材がいいとこだっただろう。
今年の夏はどうもSLに振り回される夏の様な気がしてならない。
それでもまた9月には大井川鐵道の取材の計画をリベンジしようと思う。