花盛りの馬酔木
威圧する杉の花粉球
穏やかに晴れ渡り、とても暖かい一日だった。
様々な花がこの暖かさにあわてて、我も我もと咲き競っている。
極早生のブルーベリーの花まで咲き出してしまい、人間のほうがうろたえていた。
畑を貫く道の轍の間に生える草に、雲雀がとまって大きな声で忙しなく囀っていた。
あたかも全世界に向かって「春だ、春だ、春が来た。」と、高らかに宣言しているかのよう。
我が家の椿は、ラファエル前派の背景のように鬱蒼と茂り、もはや壁の様相を呈している。
そこへひょんなことに迷い込み、抜け出せなくなってしまった馬酔木が、自分はここにいるのだと目一杯の主張は成功のようだ。
その椿の壁の脇には、小径ができている。
人が通るにはちょっと狭いけれど、猫ならば悠々とおることができるし、安全にくつろぐのにもってこいの感じだ。
どこかへ出かけるのにもってこいの日だったが、自分の家の周りを巡って、この季節にある美しさを拾い集めることも十分に心を愉しませるものだった。
赤い椿
椿の小径