9月のラボ便り
皆様、こんにちは。
台風続きで、お天気も不安定な日が続いていますが、
気持ちは明るく参りましょう!
今回のラボ便りでは、顕微授精法について、お話致します。
現在一般的に行われている顕微授精法は「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」といいます。
細い針を使って卵子の細胞質へ1つの精子を注入する方法です。
この方法が確立されるまでには、他にも様々な方法が行われて来ました。
1つが、透明帯開孔法といい、
卵子の細胞を覆っている透明帯という膜に少し切れ込みを入れてから、
精子を振りかけて培養する方法です。
そしてもう1つが、囲卵腔内精子注入法といい、
卵子の細胞と透明帯の間に精子を複数個注入し、受精を促す方法です。
この2つの方法がありましたが、
どちらの方法も受精率が低く、
受精卵となった時に、高い確率で、
精子が複数個卵子に入ってしまう多精子受精が起きてしまうというデメリットが多い方法でした。
現在行われている卵細胞質内精子注入法では、
卵子の細胞の中に1つの精子を注入するため、高い受精率が得られます。
受精率は約8〜9割に達します。
他の2つの方法と大きく異なる点は、卵子の細胞膜を細い針で刺している点です。
その点に、不安を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、心配ご無用です。
卵子の細胞膜には修復能力があるためです。
修復を助ける分子が放出され、膜同士が接着・融合し、修復へと向かいます。
顕微授精の適応となる症状には、主に以下の3つが挙げられます。
1.男性不妊(精子の数が少ない乏精子症や運動精子が少ない精子無力症など)
2.受精障害(精子が卵子の透明帯や細胞膜を通過できない。卵子の細胞質に入って行くことができない。)
3.抗精子抗体陽性(精子の動きを止めてしまう抗体を持っている。)
顕微授精によって、生まれてきたお子様に先天性の異常や、
奇形が発生してしまう頻度が増えることはございません。
当院では、少しでも多くの患者様に妊娠して頂けるよう、
安心・安全で、より効果的な顕微授精を行なっています。
とくおかLCラボスタッフより