とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

7月のラボ便り

2023年07月14日 | ラボ便り
7月のラボ便り

皆様、こんにちは。
暑い日が続いておりますので、水分補給をしっかりとして過ごして下さいませ。

今回のラボだよりでは、「アシステッドハッチング(AHA)」についてお話させて頂きます。

受精卵は受精後5〜6日目に胚盤胞になり、拡張と収縮を繰り返します。

それによって受精卵を取り囲んでいる透明帯に自ら裂け目を作り、
その後さらに拡張を続けることで透明帯から完全に脱出します。
これを孵化と呼びます。
孵化することで、受精卵は子宮に着床出来るようになります。

透明帯は卵子を包む透明なタンパク質の層であり、透明帯の役割としては、

・受精時に精子が卵子内に侵入すると透明帯を構成するタンパク質が変性し、
 硬くなることで多精子受精(精子が複数個卵子に入ることで起こる異常受精)を防止する

・受精後1〜3日目の受精卵(初期胚:胚盤胞になる前の段階)は、
 細胞同士の結合が弱くバラバラになりやすいので、
 1つ1つの細胞(割球)がバラバラにならないようにまとめる

・卵管で受精した受精卵が着床の場である子宮まで移動する際に、
 卵管の壁への着床してしまう子宮外妊娠を防止する

などが上げられます。

着床時には透明帯は不要になりますが、それまでの間には大切な役割があります。

受精卵の状態は良いにも関わらず、孵化出来なかったために着床が成立しないこともあります。
その原因として、女性の加齢や受精卵の凍結・融解によって起きると言われている透明帯の硬化が考えられます。

そこで、受精卵に対し人工的に透明帯に穴を開けて孵化しやすくすることを「アシステッドハッチング(AHA)」と言います。

AHA(アハ)には、細い針を用いて透明帯に切り込みを入れる方法、
レーザーを当てて透明帯の一部を蒸散して穴を開ける方法、
透明帯に強酸を吹きかけて透明帯を溶かす方法があります。

胚移植の当日に、凍結受精卵を融解してAHAを行うことで孵化を助け、
移植した受精卵が子宮に着床しやすくする、とても有効的な方法となっております。

何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声かけください。


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