6月のラボ便り
皆様、こんにちは。
梅雨の季節がやってきますね。
ジメジメとしていて不快に感じるかもしれませんが、
お米や野菜などの植物が育つためには必要な時期ですね。
雨の大切さを感じながら乗り越えていきましょう!
今回のラボ便りでは「精液検査の正常値」についてお話しします。
当院で行なっている精液検査でお調べしている項目と正常値は、
以下の通りです。
*精液量
一回の射精で射出される精液の量です。
正常値は1.4ml以上です。
精液量が極端に少ない場合は、
逆行性射精(精液が陰茎の先端ではなく逆方向の膀胱へ向かってしまうこと)などが疑われます。
*精子濃度
1mlあたりの精液に含まれる精子の数です。
正常値は1mlあたりに1600万個以上です。
正常値よりも低い場合、乏精子症と診断されます。
*総運動率
動いている精子の割合です。
射出された精子の全てが動いているわけではなく、
止まっている精子も含まれています。
そのような精子は受精には至りません。
正常値は42%以上です。
正常値よりも低い場合、精子無力症と診断されます。
*前進運動率
前へ進んでいる精子の割合です。
動いている精子の中には、前へと進めていないものもあります。
正常値は30%以上です。
*正常形態率
形が正常な精子の割合です。
正常値は4%以上です。
正常値よりも低い場合、奇形精子症と診断されます。
正常形態ではない奇形精子の割合は不妊男性でなくても高く、
ストレスや生活習慣によっても上がります。
また、奇形精子の割合が高い男性の数は年々増えているといわれています。
*白血球数
精液中に含まれる白血球の数です。
正常値は1mlあたり100万個未満です。
正常値よりも多く白血球が認められた場合、膿精液症と診断されます。
前立腺炎などの炎症が起こっていると、
精液中の白血球の数が増えることがあり、
白血球は精子にストレスを与えるため、不妊の原因になります。
正常値はWHO(世界保健機関)による基準値を参考にしています。
2021年に、10年ぶりにWHOの基準値が改定されました。
以前の基準値ではオーストラリアやフランス、イギリス、アメリカ等の欧米のデータのみから出されていましたが、
今回改定された基準値は中国やエジプト、イラン等の欧米以外の国々のデータも含まれています。
この数値は、1年以内にパートナーが自然妊娠した男性の精液所見を元に決められています。
精液所見がこの基準値より低いと絶対に自然妊娠できないというわけではありませんが、
基準値よりも高ければ必ず自然妊娠が可能というわけではありません。
また、精液所見は変動がありますので、
一回で判断するのではなく複数回行なって診断をしていきます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にスタッフまでお声がけ下さい。