10月のラボ便り
皆さんこんにちは。
今月のラボ便りは、
「多精子受精を防ぐ」ということについてお話し致します。
多精子受精とは、
1個の卵子の中に2個以上の精子が入り、受精してしまうことを言います。
これは異常な受精であり、受精しても途中で胚の成長が止まってしまいます。
この様な事態を防ぐための能力が、卵子には備わっています。
受精の流れは、
精子が卵子の透明帯(写真の赤い矢印)にくっついた後、
透明帯の一部を溶かし中に入り込みます。
その後、
精子は、卵子の細胞膜(写真の黒い矢印)とくっつき(膜融合)、
やがて卵細胞内に入っていきます。
まず、
精子が卵子の細胞膜にくっついた時点で、最初の反応が起こります。
この時、卵子の細胞膜の性質が変化し、
これ以上の精子の侵入を拒むようになります。
また、約40分後に卵子の細胞膜付近にあった表層粒という粒が飛び出します。
この表層粒によって、透明帯の性質が変化し硬くなります。
これにより、
透明帯でも、これ以上の精子の侵入を防ぐようになります。
このように卵子は、2重のブロックにより多精子受精を防いでいます。
しかしながら、この能力が不十分であったり、
本当に同時に精子が卵細胞の中に侵入したりした場合は
、多精子受精が起こってしまいます。
多精子受精したかどうかは、受精確認の時点で判別できるので、
通常、このような胚を胚移植することはございません。
とくおかLCラボスタッフより
とくおかレディースクリニック