大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 150『信長版西遊記・敦煌・4・仏どもに取り囲まれる!』

2023-11-05 16:30:16 | ノベル2

ら 信長転生記

150『信長版西遊記・敦煌・4・仏どもに取り囲まれる!信長 

 

 

釈迦:「もう少しここに居てくれぬか、三蔵法師」

 

 図体のデカさから、ゴジラのような声かと思ったら、釈迦は意外にきれいなバリトンだ。

釈迦:「ああ、よく言われるよ」

三蔵(信長):「あ、まだ口にしておりませんが」

釈迦:「寝そべってはいるけど、一応は釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)だからね、思ってくれただけで分かるんだ」

三蔵(信長):「それは、有難くも尊いことであります」

 しおらしく合掌しておく。

釈迦:「それに……きみの本性が織田信長だっていうことも知ってるよ」

 ヒソヒソと、俺にだけ聞こえるように言いやがる。

信長:「知っているのか……」

釈迦:「三千世界に結縁(けちえん)しているからね、ま、インターネットで繋がってるようなものなんだ」

信長:「信長と知って、その上で呼び止めたと言うのか?」

釈迦:「ああ、でも、今は三蔵法師だ」

信長:「目的を言え、なぜ、俺に残って欲しい?」

釈迦:「きみも、ここで仏になりたまえよ」

信長:「俺が仏にか?」

釈迦:「ああ、この莫高窟には空き家の石窟がいくつもある。そうだ、帝釈天さ~ん」

帝釈天:「はい、なんでしょうかお釈迦様」

 像に乗って一本独鈷をかまえた仏が出てきた。

釈迦:「きみのところに、いたでしょ、建築の管理してる……」

帝釈天:「ああ、毘首羯磨(びしゅかつま)ですね。毘首羯磨~、お釈迦さんがお呼びだよ」

毘首羯磨:「はいはい、なんでしょうか?」

 四本の手に大工道具を持って、ねじり鉢巻きした棟梁みたいなのが汗を拭きながらやってきた。

釈迦:「あ、ごめん作業中だったんだね」

毘首羯磨:「あはは、莫高窟は700も石窟がありますからねえ。いつもメンテナンスしてます。いえ、仕事というか生き甲斐ですので、お気になさらないでください」

釈迦:「いつもありがとう。で、すぐに、立派なのを一つ整備してくれませんか。こちらの三蔵法師に入居してもらうんだ」

毘首羯磨:「おお!」

帝釈天:「こちらが、あの三蔵法師ですか!?」

釈迦:「そうだよ、はるか天竺から経を持ち帰った帰りに立ち寄ってくれたんだ。そして、その本性は、あの織田信長であったりするんだよ!」

 おお!

 居並ぶ仏や羅漢どもが感嘆の声を上げる。

帝釈天:「おお、それは結構なことです! 結構毛だらけ猫灰だらけ! お尻のまわりはクソだらけ!」

 なんだか、この帝釈天、柴又駅前のブロンズ像みたいだ。

釈迦:「それで、三蔵くんに入居してもらったら、一大キャンペーンを張るんだよ『三蔵法師入居記念セール』とかさ」

帝釈天:「敦煌の商店街とタイアップして、フェスティバルにしましょう!」

釈迦:「それはいい考えだ、担当は恵比寿クンと大黒クン」

帝釈天:「毘沙門天も呼んでやりましょう!」

 お呼びでしょうかぁ(^▽^)!?

 笑顔を振りまきながら七福神どもまで出てきおったぞ(^_^;)

毘首羯磨:「話が大きくなってきましたねえ(^▽^)/」

帝釈天:「毘首羯磨だけじゃ足りないかも、おーい、イベントやらパビリオンに経験のある人、集まってぇ!」

 ハーーイ!

 ムグ、まだまだ集まって来おるぞ。

釈迦:「いやはや、ここは天下の莫高窟だからねぇ」

帝釈天:「世界遺産だからねぇ」

 俺は、こういうのは嫌いだ。なんだか、延暦寺の坊主どもみたいに俗すぎるぞ。

釈迦:「信長、いや三蔵くん」

信長:「なんだ!?」

釈迦:「この莫高窟はね、シルクロードからやってきた泰西や西域、天竺の文化が溶け合って仏教を荘厳する場所なんだよ。絶えず更新してアップグレードしておかなきゃなのさ。お経や教えも大事だけど、みんなが願うのは、やっぱり現世利益。ここで祈れば願いが叶う、そう憧れてもらうことが大事さ」

信長:「断る!」

帝釈天:「それは無いわあ、あんたらの活躍ぶりは、もう莫高窟どころか、三国志の国々にまで伝わってる。玉門関とか羅刹女とか、もうアニメ化の話まであるって噂だよ」

信長:「そんなことは知らん!」

帝釈天:「知らん?……いいのかなあ……そこまで言い切っちゃったらぁ……キミぃ、莫高窟の仏をみんな敵に回すことになるぞぉ……」

 

 ザワザワ

 

 異様な気配に振り向くと、いつの間にか、148窟は地下帝国のように広がってしまい、数多の菩薩や仏神や羅漢や羅刹どもに取り巻かれている。

 ゾワ

 怖気に、もう一度振り返ると、真ん前に96窟の大仏が仁王立ちして見下ろしている!

 こいつは、もう仏の姿をした大魔神だ!

 

 南無三、ぬかったか!?

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主

 

 

 

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RE・トモコパラドクス・69『連休 ハナといっしょに』

2023-11-05 08:56:58 | 小説7

RE・友子パラドクス

69『連休 ハナといっしょに』 

 

 

 一郎は、ペットホテルに預ければいいじゃないかと言った。

 一郎の上司が行く予定にしていた北海道旅行が仕事の都合で行けなくなってお鉢が回ってきたのである。

 でも、ハルは家に来て、やっと一週間。そして、まだ生後五十日の赤ちゃんである。とても三日も手放して、旅行なんかできない。

 

 ということで、この三連休はハナと二人で家で過ごすことにした友子である。

 

 躾けなきゃいけないことがいっぱいあるし、なによりハナの主人は自分であると思わせなければならない。

 ハナは、賢い子で、トイレは二回失敗したあと、すぐに覚えた。大きい方は散歩の途中でと、表にに連れだし、ものの百メートルも歩かせるともよおしてきたようで、道路の真ん中でうずくまった。直ぐに道路の端に連れて行き、ウンチ袋を手に待ちかまえた。

「よし、健康なウンチだ!」

 友子は、袋の口をカタ結びにすると、イイコイイコをしてやった。公園の側まで来ると、ハナはキョロキョロし始めた。ひょっとして滝川のコーヒーショップが現れたのかと見回したが、単なるハナの願望のようだ。午後に、もう一度お散歩に連れて行こうと思った。

 うちに帰ると、嫌がるハナをシャンプーしてやった。お湯の温度に気をつけ、犬用のシャンプーで軽く一回。すぐにタオルでくるんで、リビングへ。ドライヤーの弱で、乾かしてやる。

 さあ、これから躾け……と思ったら、ハナは、気持ちよさそうに眠ってしまった。あまりカワイく気持ちよさそうので、そのまま抱え込んで横になった。

 小さな温もりが、とても愛おしい。

 なんのクッタクもなくその身を預けてくれている。へそ天のお腹をフニフニしてやるとペロっと友子の頬を舐め、さらに深く腕の中に潜り込んでくる。やっぱりハナを飼って正解だったと感じた。こんなに無条件で友子を信じて受け入れてくれる存在は他にはいない。
 
 友子は、自分もお昼寝モードにして、少しまどろんだ。

 

 昼からは、本格的な躾けに入った。

 

 散歩から帰った後、ミルクを飲ませてあったので、室内トイレに連れて行き、おしっこを促す。

「ハナ、おしっこ!」

 まるで、スイッチが入ったみたいに、おしっこをした。終わるとプルっと身震いして、後足で砂をかけるようにした。本人もうまく出来たのがうれしいのかドヤ顔になる。なかなかの奴である。

 次ぎに、狭い庭に出てボール遊び。投げてやると、教えもしないのに口でくわえて持ってくる。賢い奴と思ったが、単に遊んで欲しいだけなんだと理解した。

 その次のお座りがなかなかできない。

「お座り」

 命じても、うろうろしたり、まとわりついたり。

 掴まえてきて、無理にお座りの姿勢をさせるが、効き目がない。

「お座り!」

 あまり真剣に「お座り」を念じ続けたので両隣の中野さんと森さんが庭でお座りをしてしまった(^_^;)。

 昼過ぎに、もう一度お散歩に行った。なんとなく滝川に会えるような気がしたから。

 

 今度は当たり。

 

 公園の角に『乃木坂』の看板で出ていた。

 ハナとポチは、店の庭でじゃれあっている。向かい合った滝川とガラス越しに見ていると、一郎には悪いが、こっちの方が正解だったと友子は思った。

 ホワ~ン

 ティーカップを持ち上げると、ほのかな湯気とダージリンの香りがたちあがる。

 ホワ

 微かなショック。

 突然、電脳に栞の声がした。

――……えてる、お母さん?……こえてると思って話す……義体の攻撃は当分ないんだ……で……きらめたわけじゃない、注意して、敵……敵は義体以外の攻撃や干渉を考えてる……とか……とかの精神攻……撃とか、とうぶん、栞も行けないから……気をつ……て、お母さん……――

「トモちゃん?」

「え……あ……」

「なにか受信したのかい?」

「え、あ……」

「ここは次元変換したうえにバリアーが張ってあるから、外からはなにもしかけられてはこないはずなんだが」

 受信したんじゃない。

 すでに送られてきていた通信が解凍されて頭に浮かんだのだ。ノイズや欠落があって不完全だが、栞は未来から警告してくれている。

「聞いてもらえます?」

「ああ、いいよ」

 今の通信を送ってやると、滝川の顔から微笑みが消えた。

「……物理的に来られない分、なにかを仕掛けてくるようだな」

「どんな?」

「分からないが……事件を起こしてトモちゃんたちを巻き込むような形でという気がする」

「どんな?」

「アメリカに戦争を仕掛けるバカはいないが、アメリカの同盟国をいたぶって結果を出そうとするような……かな」

 言われると、世界各地で起こっている紛争のいくつかが浮かんでくる。

「あるいは、社会問題を起こして、内部から崩壊させるような……」

「わたし、アメリカなんですか?」

「あ、すまん、つい経験則で例えてしまう」

「滝川さんて、アメリカの……?」

「それは違う!」

 ちょっとムキになった滝川をカワイイと思った。

 庭では、相変わらずハナとポチが遊んでいる。

 せめて、もう一杯お茶を飲んで行こうと思う。

 

 飲み終わったら、世界中を相手に戦争してやってもいいと思う友子であった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 鈴木  栞        未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
  • 水島 昭二        談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
  • 滝川 修         城南大の学生を名乗る退役義体兵士
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