大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』

2023-11-21 10:48:27 | 時かける少女

RE・

216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』テル 

 

 

 頼んでみます!

 

 涙でグチャグチャになった顔を上げてイザナミさんが言い放った。

イザナミ:「幽世と現世は裏と表です。裏あってこその表、表あってこその裏です。黄泉の国の神々に頼んでみます。黄泉の国が黒々と影をなしておられるのは一筋一点の日の光も漏らさぬほどに堅牢な現世があってこそ。そのためには、いま一度戻って夫とともに励まなければなりませんと。少し時間がかかるかもしれませんが、イザナギさん、それまで、ここにいるみなさんと一緒に、どうぞお待ちください!」

イザナギ:「イザナミ!」

 ハッシと抱き合う二人。

 ジュッ!

 焼けたアイロンに水を垂らしたような湯気が立って、いっしゅんのけ反ってしまう。

イザナギ:「もう、こんなに体温にも開きが出てしまったんだね。火傷しなかったかい?」

イザナミ:「はい、だ、だいじょうぶです」

 垣間見えたイザナミさんの手は、すこし赤くなっていた。

イザナギ:「苦労を掛けるね」

イザナミ:「一つお願いがございます」

イザナギ:「なんだい?」

イザナミ:「わたしが中に戻っている間、けして中に足を踏み入れて覗いたりなさいませんように。互いに触れ合えばジュッと湯気が立つほどに隔たってしまったのです。黄泉の国の神々の相談にも、いささかの時間がかかると存じます」

イザナギ:「大丈夫だよ、オノコロジマから、みんな頑張ってきたんだ。わたしも仲間も待つことには慣れている」

イザナミ:「それは言わずものことを申し上げました。それでは、我が君、供の方々、行ってまいります!」

 

 健気に笑顔を見せてイザナミさんは黄泉の闇に消えていった。

 

イザナギ:「みなさん、付き合わせてしまって申し訳ありません」

テル:「頭を上げてください、みんな自分の意思で、ここまでやってきたんです」

ケイト:「うん、最後までつきあいますよ、なあ、桃太郎二号」

桃太郎二号:「おうよ!」

ヒルデ:「長丁場になるだろう、食料と水の確保、それに野営の準備だな」

与一:「では、自分は水場を探しながら狩りに出ます。ケイトも着いてきてくれるかい?」

ケイト:「うん、あたしもアーチャーだからね!」

ヒルデ:「では、わたしはタングニョ-ストと野営の準備にかかろう」

雪舟ねずみ:「車の中にブル-シートとポリタンクがあります、取ってきます」

ヨネコ:「緊急事態なんだから、ここまで車持って来ちゃダメなの? ポケットの中に圧縮してるんでしょ」

雪舟ねずみ:「黄泉の国とは言え、神域です。憚らなくてはなりません、取り出すのは結界の外です」

ヨネコ:「じゃ、わたしもついていく」

雪舟ねずみ:「それは助かる。戻ったら野営のお手伝いします」

テル:「わたしは、薪を拾ってくる。桃太郎二号付いて来てくれ」

桃太郎二号:「おう!」

 

 テキパキと任務分担がなされ、みんなそれぞれの任務につき、わたしは桃太郎二号と共に山の中に分け入った。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

  

 

 

 

 

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RE・トモコパラドクス・85『再びカッパドキアに』

2023-11-21 07:08:38 | 小説7

RE・友子パラドクス

85『再びカッパドキアに』 

 

 

 

 ポチとハナは昨日テレポした最初の渓谷に居た。

 

 それも、マイクとミリーの姿では無く、日本にいる時の姿。それも、少し歳をとっている様子だ。

 ポチは中学生ぐらい、ハナは小学6年生ぐらいの姿で、抱き合って寝ている。

「寝たままここに来たんだな」

「でも、なんで姿が……」

「ここを捜索しているうちに活性化してしまったんだ」

「目を覚ましたらビックリするでしょうね」

「ああ、服のサイズも合わないだろうし……犬に戻してやろう」

「どうやって?」

「ハナの頭に手をやってイメージしてやるんだ」

「うん」

 滝川の真似をしてやってみると、数十秒で二人は犬の姿に戻った。

 犬としても成長が進んでいて、四カ月だったハナは二回りも大きくなってポチとそう変わらない大きさになっていた。

『おまえ、急に大きくなったなぁ』

『え、ポチが縮んだんじゃないのぉ?』

『うっせえ!』

 あまり気にしていない様子なので、簡単に食事して出発することにした。

 

 司教たちの居所は、すぐに分かった。最初に居た崖庇の数キロ北で血の臭いがしたのだ。

 発見したのはポチとハナ、やはり犬の嗅覚は鋭い。

 

 臭いは渓谷の崖の洞窟のあたりからしてきた。

 この洞窟にたどり着くことも出来ずに渓谷に落ちたT町の住人が二百人ほど谷底に落ちて死んでいた。

 構っている暇はない、二人は手を合わせ、二匹はお座りして首を下げるだけで先に進んだ。

 洞窟の中に入ると、様々なトラップがあった。

 洞窟までたどり着いた住人たちも居るには居たが、あるものは落とし穴に落ちて亡くなり、ある者は壁から突き出した無数の槍で串刺しにされ、体中に開いた穴から血を流し朱に染まって命の灯を消していた。そして、その先には、地獄の番卒でも目を背けたくなるようなトラップと、その犠牲者たち。

「この人たちが居なきゃ、トラップの解除に時間がかかるところだったな」

 歴戦の戦士にしては感傷的な無駄口だが、あえて口にすることで友子の神経を労わっている。

 人が無残に殺されるのは渋谷の大惨事で経験済みだが、戦闘以外で見るのは初めての友子だ。

 トラップが機能しなくなるまで死体の山が築かれ、さらに、その奥、犠牲者の死臭に隠れて人の気配がした。

 

☆彡 主な登場人物

  • 鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女
  • 鈴木 一郎        友子の弟で父親
  • 鈴木 春奈        一郎の妻
  • 鈴木  栞        未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘
  • 白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵
  • 大佛  聡        クラスの委員長
  • 王  梨香        クラスメート
  • 長峰 純子        クラスメート
  • 麻子           クラスメート
  • 妙子           クラスメート 演劇部
  • 水島 昭二        談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル
  • 滝川 修         城南大の学生を名乗る退役義体兵士

 

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