大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『忍びの国』

2013-09-07 07:13:58 | 読書感想
タキさんの押しつけ読書感想
『忍びの国』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している書評ですが、もったいないので、転載したものです。


「のぼうの城」作者/和田竜の忍者小説です。

 山田風太郎亡き後、このジャンルは久し振りです。作品そのものは5年程前の物ですが23年に文庫化(新潮)しています。
 一読、さすがに和田竜、一行目からありありと画が浮かび上がって来ます。 物語は、織田信長の伊賀攻めの前に、伊勢の国を支配した信長次男/北畠信雄と伊賀との戦いがメインのお話。ストーリー展開は史実をベースに虚実取り混ぜて繰り広げられる。
 主人公は“無門”と名乗る伊賀一の術者……この人物は作者創作だと思うが、その他の登場人物は 皆実在した人々。とはいえ、作者の視線は歴史専門家と読者の中間に位置し、適度に史書を引用しながら語って行く。
「のぼうの城」もそうだったが、主人公/無門以外の人物像も鮮明に描かれていて、それぞれがなかなかに魅力的である。作中、名前の出て来る人物は皆丁寧に書き込まれている。
文吾(後の五右衛門)に思い入れる人もいるだろう、信雄の悲しみに共感する人もいるだろう、大膳の戦国武者の生き様を是とする人もいるだろう。
 すなわち、読み手によって本作の主人公は変わる。 本来、本作の主人公は、百地党一の術者“無門”に違いはないが、それ以外の登場人物が その位魅力的に書き込まれている。 戦国戦略ミステリーとしても第一級作、余計な事は一切言わない。風太郎以後、読む本が無かったと嘆いている方々よ! 刮目しつつ本書を読みたまえ、内容絶対保証!
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