大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

REオフステージ(惣堀高校演劇部)117・帰りたんですけど

2024-08-11 09:18:42 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
117・帰りたんですけど 






 トイレに行くのが先決問題だったので瀬津さん……と間違えたメイドさんの正体は分からずじまい。

 手洗いのあと通された部屋は六畳と八畳の続き部屋『こちらでお待ちください』と通されたんだけど、奥の八畳は誰かの部屋なんだ、境の襖は開いているけど、手前の六畳で待つ。

 六畳は控えの間の感じで、小振りの文机の他には押入れの襖が見えるきり。

 八畳の南向きには淡いグリーンのカーテン。カーテンを通して日差しがろ過されて淡い光に満たされて、こちらの六畳まで淡色のグラデーションに染まっている。

 窓の方を頭にしてベッド。セミダブルと言っていいほどの大きさで、硬すぎず柔らかすぎずの感じ。

 枕は、うちのと同じ低反発ピローかな。

 枕の方角にL字型に机、デスクトップのパソコンは大学に入ったら、これに買い替えようと思っている新型。

 モニターが二つと思ったら、一つは憧れの二十四インチの液タブだ。

 書架には、わたしがシリーズで読んでいるラノベが6シリーズ並んでいる。

 書架の前には小振りのコタツ。部屋の主は普段はこのコタツで寛いでいるんだろうね。

 部屋の主は女性というか女の子だろうね、さっきの謁見の間にも近いし、待機のために通されたんだ。
 八畳の方に踏み込んでみたい気になったけど、人の部屋、ちょうど座っているところにろ過された日差しもあるので大人しく座って待つ。

 日差しの柔らかさにウツラウツラ。


 トントン


 ドアがノックされた。

「ど、どうぞ」

――失礼します――

 一声あって、さっきのメイドさんが入って来た。

「今日は、申し訳ありませんが、御屋形様はお戻りになりません。時間も時間ですので……」

「あ、いいのいいの。大お祖母さまは忙しい方なんだから、わたしはこれで失礼します。穴山さんに駅まで送ってもらったら、まだ十分新幹線には間に合う、さ、急ぎましょうか」

「あ、いえ。食事になさいますか? お風呂になさいますか? というお話なんですが」

「あ、あ……えと……」

「申し遅れました、わたくし美晴お嬢様のお世話を担当いたします瀬奈と申します。お嬢様も御存じの瀬津の娘でございます。母は、いまは御屋形様の秘書を務めております。不束者ではありますが、よろしくお引き回しのほどお願いいたします」

 瀬奈さんか、やっと正体が分かった。

 そうよね、似てると思ったら親子だったのね。お辞儀の仕方なんて、もう堂に行っちゃって、アキバのメイド喫茶なんて目じゃないわ。それでこそわたしの世話係……世話係って? わたしスグにでも帰るつもり……


 スマホの呼び出し音……わたしにじゃない。


「失礼いたします」

 なんだ瀬奈さんの……あの、帰りたんですけど~(;^_^A

「お食事は、お役目のみなさまや里のみなさまが御一緒されますので、お嬢様にはお風呂の方にご案内せよとのことです。ささ、どうぞこちらへ」

 さっさとドアの外に出て行くしぃー!

「お嬢様、お湯殿にまいられますー、みなみなさま御仕度をーーーー!」

 彼方で大勢の人が動く気配、なんだかとんでもないことになって来た(;゜Д゜)。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  
  • 沢村留美        千歳の姉
  • ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿
  • 松井須磨        停学6年目の留年生
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生
  • シンディ―       サンフランシスコの高校生
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)
  • 惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)
 



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