昨日、大阪市立美術館で開催されている岸田劉生展に出かけて参りました。
劉生の作品をこんなに一度に沢山鑑賞したのは初めてでした。
いろいろな事を感じ、考えさせられた展覧会でした。
いつものように二人で出かけましたが、美術館の中では珍しく初めから最後までバラバラに歩きました。それだけ、二人が感じることの多い展覧会だったようです。
劉生は結局日本人が油絵を描く意味を探し求めた画家なのだと思います。
もしかしたら、日本画の速水御舟や村上華岳の求めた写実の世界に近いところにいたのかもしれません。
当時誰も踏み入れなかつたところ、そして今も誰も踏み入れていないところ…劉生の世界はそこにあるのでしょう。
14才で両親を失い、関東大震災で住む所を無くし、劉生の人生は波乱に満ちていました。
愛する娘を描く時、あの多くの自画像のように人間として幾つもの顔を持った劉生の本性が垣間見られる気がします。
写真は麗子さん、九つの時。 美しいお顔立ちです。
麗子像はよくよく眺めていると不思議にいとおしくなってくる絵です。
麗子像のなかに、どうしようもなく人間らしい劉生が生きているからかもしれません。
※ 生誕120周年岸田劉生展は明日23日まで。