3月末に東京の展覧会を見て参りました。
東京都美術館 日本美術院再興100年 特別展 世紀の日本画 会期終了
東京芸術大学大学美術館
観音の里の祈りとくらし展 びわ湖・長浜のホトケたち
芸大コレクション展 4月13日まで
東京ステーションギャラリー
洋画家たちの青春 白馬会から光風会へ 5月6日まで
東京都美術館の“世紀の日本画展”には多くの方がお出かけになられたと思います。
私は最終日に近くなってやっと展覧会を見ることができましたので、
展覧会の感想を皆さまにお伝えすることもできないなぁと思っていましたが、
一足先に展覧会に出かけた佐橋と私が共に
「観ておいてよかったねぇ」と話していた岩橋英遠さんの大作について、
今日友人から素敵なお便りをいただいたのでその内容をご紹介したいと思います。
「道産子追憶の巻」 岩橋英遠 昭和53年~57年制作 紙本彩色
60.7×2908.8cm (八面) (北海道立近代美術館蔵)
展示室の壁面4面分位にずーと作品が続いていて・・
歩いて見ていくと北海道の夜が朝・昼・夕へと、またそれと同時に冬・春・夏・秋へと時間と季節が移っていく作品でした。
冬の夜を過ぎると、ちょうど夜明けと共に春の兆しが感じられ、白樺の林を過ぎて広い平野が広がり・・
視界が広がった所に、一本のこぶしの木が凛と立ち、花を咲かせているのです。
こぶしの木自体はこの便箋位におさまる大きさなのですが、何とも象徴的で。。
私もついこの間こぶしが咲いているのを見て、
まだ冷たい風の吹く日だったのですが、
「あ。春が来たのだ」と思ったばかりでしたから、絵の中で同じ体験ができて
とてもうれしくなりました。
彼女のこのお便りひとつでなんだかホッと明るい気持ちになりました。
岩橋英遠の作品の本当の美しさを共有できたからだと思えます。
派手なところは一つも見つからないけれど、
丁寧に丁寧に描かれた画面に
北海道で暮らすということの重みと誇りのようなものをひしひしと感じるような
優しさと気品の溢れる作品でした。
良い絵もなく、悪い絵もない。
絵画はいつでも私を待っていていてくれる。そう感じます。