風景画のご紹介をもう一点させていただきます。
長閑な奈良の田園風景です。
前面に白く抜かれて描かれているのは積み藁だろうと思えます。
杉本健吉は写実のなかにも適度な力の抜け具合を楽しむ作品を多く残しましたが、
ときどき特に水墨において
とてもリアルな、あるいはスキッとしたセンスの光る作品に出会うことができる画家だと
いう印象を私はもっっています。
この奈良風景もそんな作品のひとつに思えます。
どんな風景も結局「わたくしの眼」を通してしか眺められない。
「わたくしの筆」を通してしか描くことができない。
歯痒くて、切なくて、寂しい。
描く人も、それを観る人もその共感に儚くつながるのが風景画の楽しみかた
なのではないでしょうか?
※作品画像は納品のため削除させていただきました。