店に長い時間いるようになると、それはそれで日に日に、佐橋の不在を実感することが多くなります。
先週金曜日に、作品の掛け替えを少し致しましたが、その時、ショーウィンドウのスポットの一つがついたり、
消えたりしている事に気がつきました。
「予備」は確かあったはずですが、果たしてあの高さのスポットの電球を私に替えることができるかどうか?
佐橋は道具を買う事が好きだったので、この梯子のほかに、もう一つ背の高い梯子もありますが、そちらは私には重たくて
ここまで運べません。
仕方なく、小さい方の1番上に乗ってみる事にしました。
私は大工の娘で、小さい頃から父の現場に行っていましたので、案外高いところは平気です。
けれど、ある年齢になってから気づいたのです。
高いところが平気だったのは、脚力や体のバランスの取り方が若く、上手だったからで、
歳をとってから高いところに登るのは非常に危ない⚠️
でも!せめて電球を取り外して、あの気になる「パカパカ♪」を止めなくては。
この場所は幅が狭かったので、梯子の1番上に乗り足を揃えても、両手を壁とガラスに広げれば
体が安定します。
またここで私が怪我をしても、前をお通りのどなたかが気づいてくださるだろうと思ったのです。
運よく電球を外し、梯子を降りる。
新しい電球を持って梯子を登る。
の二回の梯子乗りに成功しましたが、残念ながら新しい電球をはめる作業には体を安定させる力がかなり必要で、
「これは無理だ!!」と諦めました。
そして、心のどこかで諦めた自分を褒めました😅
翌日土曜日の外出には息子に車を出してもらいましたが、思ったより早く店に戻ることができましたので、
お願いをしてスポットを取り替えて貰いました。
息子は私よりかなり背は高いのですが、それでも「結構不安定だね」と言っていましたので、
私は前日かなり危険な事をしていたようです。
ふと思ったのです。
そういえば、佐橋が2年前に病気を発症して手足の神経が麻痺してからは、梯子のりは私の担当だったなぁ〜
けれど、その時は必ずそばにいてくれて、私に指示を出してくれたり、道具を持っていてくれたなぁ〜
そして、
『そんな私だけの思い出を頑なに守りたい為に、私は危ない梯子乗りまでして、今この店に居ようとしているのだろうか?』
息子が言ってくれたのです。
「佐橋雅彦の人生はもう終わった。あなたの人生はまだ続く」
いよいよお盆休みが近づきました
無理に脱ぎ捨てようとは思いませんが、私を苦しめている私自身の雑念やエゴにこれ以上振り回される事の
ないように、少しずつ自分の奥深くに佐橋の魂を鎮めていきたいと願っています。
梯子に乗って気づいたことも沢山ありましたが、これからはとにかく1人では乗らないように致します😆