つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

U氏のコレクション

2024年11月19日 | お客様よりのお便り

先日は山口薫作品をお譲りいただき本当にありがとうございました。
 
早速、部屋の模様替えをしてみました。
 
まず、山口薫の「月や馬や鳥や猫」をこの部屋に戻ってきたときに一番見やすいところにかけました。
ここには応接セットもあり、お客さんは正面にこの作品をご覧になることができます。きっと誰も気づかないでしょうが。



う~ん。癒されます。





そして、今度はこの部屋から出ようとしてデスクから立ち上がったときに見るはじめの壁にはもう一枚の山口薫作品を。


こうなると部屋全体が山口薫ワールド一色になります。
 




金山平三の作品がドアの横にあったのですが、ここにはなんとなく牛島を飾りたくなりました。金山は牛島や薫のもう一世代上になりますね。
牛島作品は不思議な世界観ですが嫌いではありません。



 

この部屋にはもう一枚飾れるので、以前弥栄画廊のご子息から譲っていただいた島田章三の鳥の絵を飾ることにしました。
島田章三はこの絵のあとから、すっかり山口薫化しますから~

 

そして、机の上に山口薫の画集を置いたら、今回の模様替えの完成です。



私がブログにクイズをださせていただくとき、必ずコメントでお助けくださる、日本近代洋画をこよなく愛してくださるUさんのコレクションです。

今回薫作品をお納めいたしましたので、それに合わせお仕事場の作品の掛け替えをされたご様子です。ご自宅はご自宅でご家族のお好みに合わせ、また違う作品をおかざりになっていらっしゃいますが、このお部屋はお仕事とお仕事の合間、またお仕事の始まりと終わりに一服される場所でいらっしゃるので、Uさんが一番お好きな作品をお飾りになっていらっしゃいます。

山口薫ワールド!ということには、勿論、頷けますが、弥栄+佐橋ワールドとも感じられ、勝手な大満足を味合わせていただいています。


先にご紹介いたしましたY様もU様も現役のお医者さまです。
お二人はなんの接点もお持ちではありませんが、お医者様としての正義感をそれぞれきちんとお持ちでいらっしゃる方々だと感じています。

私の勝手な印象では、そのお仕事に少しウェット、優しい要素を持ち込まれるY様のコレクションの作品たちはみなクール。理性的。

逆にお仕事にクール、とことん合理的な要素を持たれているU様のコレクションはウェット、詩的。

お仕事の仕方とコレクションの性質に、大変面白いクロス✖現象が起きているように感じられました。

ご事情もお有りですが、そういえばお二人ともあまり人物画をお持ちにならなっていらっしゃらない気が致します。

これからもY氏、U氏のコレクションを興味深く拝見していきたく存じます。お医者様でも罹ってしまうこの重い病気にも💉それぞれの色、表情があることがこの頃よくわかり、あいにく処方箋こそ持ち合わせてはおりませんが、出来るだけ長くその違いを感じ、楽しませていただきたいと思うからです。

結局、私が一番重い病気にかかってしまっているのでしょうか??















 

 
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Y氏のコレクション

2024年11月19日 | お客様よりのお便り
急にまたお寒くなりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

日、月曜日とブログもお休みをいただきましたが、その間にお客様がたが、私のお願いに応えてメールをお送りくださり、大変嬉しく拝読いたしましたので、いくつかご紹介させていただきます。


Yさんのコレクションは以前にもこのブログでご紹介をさせていただきました。

ご自宅の作品の掛け替えに、東山魁夷の小品とともに、幾つか作品をお飾りになられたそうで、その中の森本草介の「プルーン」について画像とお言葉をお寄せくださいました。

小品ですが、とても密度濃く描かれている作品で、まさにコレクター様向きの作品。確かに市場に出されることはなく、お客様からお客様にコレクションのバトンが受け継がれ続けています。



私の好きな作品です 。
佐橋さんは 写実でありながら油彩画の枠をでていない作品 と評しておられました 。
写真のような写実画が一時たくさん でましたが 油彩画の感覚を残しているところが気に入っており いつまでも眺めていたい作品の一つです。



「油彩画の枠を出ていない」というのは、油彩という手段がもつ独特の「趣き・手触り感」を失っていない という意味の言葉かなと思っています。

森本草介は、一見野暮ったくなりそうな写実画的題材を選びながら、その確かな技量で作品に画品を保ちつづけられた稀有な画家だったと感じています。

最後に

佐橋さんのお言葉を噛みしめながら眺めています

というお言葉をお添えいただきました。

今月23日で、佐橋が他界して一年半となります。
私もやっと一人に慣れて参りました。
そうですね、、決して、独りではありませんね。
皆様と共に。
心からそう感じます。







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この地方の展覧会

2024年11月16日 | おススメの展覧会、美術館訪問
この一年半は、私自身が美術館さんにほとんどお邪魔しておりませんでしたので、ブログにも展覧会のご案内をさせていただいておりませんでした。

コロナの心配も薄まり、これほど外国の方が日本にいらっしゃるようになって、少し日本的な美術品の展覧会も多くなってきたように思いますので、この年末から年始のこの地方の美術館さんの展覧会の広告をご覧にいれようと思います。











私個人としては、名古屋市の民藝の展覧会、碧南の鉄斎展、三重パラミタミュージアムさんの京都日本画展、岐阜美術館さんのルドン展などに行きたいと思っていますが、名古屋市美は兎も角、果たして1人でちゃんと行けるかな?と少し不安になったりしています。何年も住んでいるのに、名古屋駅の地下で迷子になってしまうことも多々ありますので💦


それでも、このところの自分のお勉強不足と脚力の衰えには目を覆いたくなることばかりですので🫣、行動を起こさないと!と思っています。5000円ほどのタクシー代を持って、歩く癖をつければ方向音痴も解消しやすくなりますよ🚶‍♀️と大変健脚でいらっしゃるお客様が教えてくださいましたので、その言葉を信じて歩かなければ!と思っています。


また、つい最近、日本画家の田淵俊夫先生が、お手紙をつけて名古屋松坂屋さんの院展の招待券を沢山お送りくださいました。

お近くでお出掛け予定の方がいらっしゃいましたら、こちらもどうぞご利用ください。


明日、明後日お休みを頂戴いたします。
どちらかで早速展覧会に出かけられたら上出来ですが〜どうかしら?

早くも年末の慌ただしさが予見される頃となりました。
皆様も休日を有意義にお過ごしくださいませ。


山口薫展へのお出かけもどうぞお忘れなくいらしてください。

最高5回?2回は当たり前!何度も皆様に足を運んで頂いている展覧会です。








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田中一村展

2024年11月07日 | おススメの展覧会、美術館訪問
投票権があった先日の日本の衆院選挙の時よりも、米国の大統領選挙をドキドキしながら見守るという。。

結局、現実ってそういうものだよなぁ。来るところまで来ないとわからないのだよなぁと思いながら、昨日2日ぶりに山口薫作品の並ぶ佐橋美術店に帰って参りました。

とことん優しい。 けれど理が通っている。(筋という言葉は少し違う気がするので理を使いました)

あらためて惚れ惚れと山口薫の作品を眺めています。



先日の上京の際には、東京都美術館さんで開催中の田中一村展にも寄らせていただきました。

予定が確実でなくネットでチケットを買っていませんでしたので、チケット売り場が混雑していれば今回の鑑賞は諦めようと思っていましたが、売り場は10分ほど並べばなんとかなるかな?と思えたので、躊躇なく入館いたしました。


ところが、いざ会場に足を運ぶと「凄い人混み🥵」

入場料2000円を捨てるつもりで見なくてはいけないぞと覚悟を決めました。

田中一村についてはきっとみなさまの方がお詳しいので、こちらに記させていただく事は致しませんが、

芸大を2か月で退学せざる終えない境遇。そして、その芸大を退学して間も無くの頃の作品からもう既に田中一村は画家として出来上がっていたのではないかしら?とその作品たちを「遠目」に見ながら思えました。

大人気の奄美の風景を描いた晩年の作品は本当に綺麗で、一村が他界してからのち、その評価が高くなったこと、また最近のブームの理由に納得いたしました。

穿った見方かもしれませんが、

田中一村は生前その作品に注目が集まらず、売れなかったが故に、絵を描くという大好きなことが続けられたと言えるように思います。

そして、それとは逆に、山口薫は作品が売れすぎて、絵を描くという密かな幸せさえも奪われてしまうという不安を常に抱き続けたのだと思います。

同じ価格であったら、田中一村と山口薫の作品のどちらを買うだろうか?と考えると、やはり私は山口薫だろうなぁと思います。


山口薫の文章の中に「画品」という言葉で出てきます。


例えば


私が何を考え何のためにに絵を描くのかと
今その疑問にぶつかっている

自分独りの時間

品のある絵をー画格

品のある絵を考えてみたけれども
夢のようでわからなかった

ある心理からの脱出

愛を同等に分けてやることが出来ない
愛しい宿命
祈らざるを得ず


作品に単純な画格を求めなかったところに山口薫の素晴らしさがあったのではないでしょうか。簡単に言えば、薫は庶民の中に埋もれようとしていたようにさえ感じられます。

田中一村を競って鑑賞する大勢の皆さまがいらしゃること、私もその一員であるという現実と、山口薫作品をお持ちになってくださり日々その作品と共に暮らしてくださるお客様がいてくださる現実を、これこそ現代の絵画鑑賞の現実だと確かに思い、考え、今日から日々を過ごしたいと思っています。



展覧会概要 ↓























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斉藤典彦展 ー水の國/白き森ー

2024年11月05日 | おススメの展覧会、美術館訪問
最初に゙お伝えいたしたく思いますのは、私には日本画制作の詳細な知識や現代日本画壇における日本画の位置づけなどに何の意見も持っていないという事実です。

ですから、東京芸術大学の日本画の教授として長く籍をおかれました斎藤先生の退官記念の展覧会をご紹介することはまことに恐縮なことだと考えておりますが、それでも、佐橋美術店という当店の看板の文字を斎藤先生にご揮毫いただこうと言い出したときの佐橋のことをしっかりと覚えておりますし、何といっても亡き佐橋のその「眼」を今も固く信じている私は、斉藤先生と日本画家でもいらっしゃる奥様の佳代様が先日わざわざ佐橋の為に名古屋におでかけくださったことや、その作品を扱わせていただく画廊、画商としての立場を、できるだけ全て捨てて上京しようと決めていたことだけは皆様にもお知らせしたいと思います。



まず展覧会として、とても素敵な催事でした。無料なのが申し訳ない。

山口薫展のために山口薫の作品に囲まれて毎日を過ごした翌日の展覧会です。私の「素敵」「なぜ無料」という言葉にも真実味をお感じいただけるのではないでしょうか。

佐橋の体調のことなどあり残念ながら、最近の先生の作品を当店では扱わせていただいておりませんでしたので、私には「こまやまのその後」の作品についての流れを感じさせていただく良い機会ともなりました。

公式の展覧会のご案内は以下のページです。


各作品や会場内の画像は私は撮影いたしませんでしたので、
ほかインスタグラムなどで美しい画像を残されていらっしゃる方のページをご検索いただけたらと存じます。






水墨画的な作品も含め、点と線
そしてその表裏にうごめくもの
暮らしの重みと自然の広がり、日本人としてのいのり。

表向きの表現としてはそんな言葉を選ばせていただきたいと思います。



そして、きっと佐橋が見ていた斉藤典彦先生の画家としてのお姿は
例えば膠、岩絵の具、絹、和紙…水に溶けていくようなものをこれからも全て引き受けていこうとされる人としての器そのものであったように、今回の展示を拝見して強く思えました。


例えば、水がすべてを包み、浸透、親和し、その最後の最後にどこにたどり着くのか?それを見届ける日本画家としての覚悟と忍耐の強さを佐橋は先生に見出していただのだと感じます。
それは日本画家に最も大切なことであり、困難を極める現代にもっとも苦しい道を強いられる画業であるのではないでしょうか。



日本画は線。
私は今もそう思っています。きっと佐橋も。
だからこそ、形を描かない斉藤先生に大変なご苦労をかけ、その書をいただいたのだと思っています。その書に感じられる温かみを信じて、私たちをここまで歩いて参りました。


当店にお通いくださる和菓子店のご主人は、私に和菓子は油を使わない、そう教えてくださいました。

日本人としての誇り、水の國に生まれた者の美しい姿。

どの日本画家の作品をみても60代以降のご制作に「実り」があると感じています。

日本画家斉藤典彦先生がこの後のお作品に益々「画品」をまされますことを、同じ日本画家の斉藤佳代さんとともに、今まで通り、ゆっくりと確かな歩みを重ねていかれますことを、現実的にはまだ新幹線に乗るのがやっとの私ではありますが、これからも真摯にそれを祈り続けさせていただこうと思っています。

佐橋とお別れをしても私はまだなにものでもない。いきがけの旅の途中。
斉藤先生の今のお作品に、そう教えていただいた気がしています。それは何にもましてこの秋の大きな収穫でした。

       令和6年11月5日 佐橋夏美 展覧会日記より





芸大にはとても素晴らしい建物が並んでいます。今回展示のありました陳列館、正木記念館、本当に日本の建築物として美しいと思えました。

ご紹介が遅くなり申し訳ございませんが、斉藤先生の展覧会は10日まで続きます。よろしければ、このブログをご参考にお出かけくださいませ。











コメント (2)
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